生命保険の見直しブームなう


大型ショッピングセンターなどに行くと、最近必ずあるお店があります。
10年前には全く見掛けなかった現象です。

それは、生命保険の見直しをウリにした店舗です。

生命保険って、今では考えられないかもしれませんが、実は15年前くらいまではどこで誰から買っても同じような商品・保障内容・保険料でした。護送船団と言われた時代、生命保険は国内の生命保険会社15社がほぼ市場を独占しており、波風たたないように商品開発やチャネル開発が規制されていた時代がありました。折しも、1993年3月までは予定利率が5.5%もありましたから、銀行の定期預金と同じく、保険会社の言うなりに加入していれば万が一の保障も取りつつ、資産は増えた良き時代が確かにあったのです。(ちなみに、今は1.5%ほど。もうすぐ1%まで下がる見通しです)

さて今、当時と比べて生命保険を取り巻く現状はどうなっているのでしょうか?

生命保険をはじめとする保険商品の見直しの重要性が認識され、各メディアやネット上で盛んに取り上げられてきたのは、最近5~6年の動きです。先に書いた保険ショップもそうですし、今やネット通販の生命保険会社が20代~30代の若い世代ではバカ売れしています。現在も保険の見直しに関心を持つ消費者が後を絶たない状態です。

なぜか?この原因を分析してみたいと思います。大きく分けて、2つの要因があるように思えます。

ひとつ目は、市場を取り巻く環境の変化です。
国内生命保険業界において、個人保険(死亡保障性や医療保障性の商品に、個人加入されたもの)の市場規模は減り続けています。1409兆円あった市場規模は、今や6割程度の879超円ほどまで落ちているのです。1998年比で件数がほぼ横ばいか微増であることを考えると、1件あたりの単価が下がっていると言えそうです。シンプルな掛け捨て型の商品が増えたことが、この一因かもしれません。

その一方で、個人年金保険(生存保障という私的年金性の商品に、個人加入されたもの)の市場規模は増え続けています。1998年の時点では81兆円と、個人保険に比べて僅か6%弱のニッチ市場でした。それが2010年には95兆円強となり、いまや個人保険の10%程度の市場規模まで膨らんできています。

1998年ごろ、何が起こっていたかというと「金融ビックバン」の真っ最中でした。つまり、生命保険を取り巻く規制の枠が取り外され、各生命保険会社が斬新な新商品を投入できる環境が整えられつつあり、生命保険会社内部の変化等も保険見直しの機運の高まりに重要な影響を与えました。

段階的に規制は緩和されてきたのですが、2007年12月以降、銀行や証券会社などでもあらゆる保険販売に掛かる規制が無くなりました。

ふたつ目は、日本社会の経済の停滞や社会システムの変化です。
従来の日本社会では、終身雇用や年功序列制度が有効に機能していたので、年齢とともに給与が上昇していきました。そこで、死亡保険の代表格である、年齢とともに保険料が上昇する「更新型」の生命保険を続けてもそれほど負担を感じることがありませんでした。

ところが現在では、収入が年齢とともに上昇する保障もなく、ある一定の定期期間の後に大きく保険料が上昇する「更新型」生命保険に大きな負担や疑問を感じている方が非常に増加してきました。

事実、経験値として、ここ最近でわたしがコンサルさせて頂く個人の方や中小法人のオーナー社長は、旧来特に何の考えも無くお付き合いなどで加入した生命保険に疑問を抱いた方が大半を占めます。

そしてこの先も、社会保険料や消費税・資産課税(所得税・相続税など)をはじめとする税金のアップは避けられないものと思われ、個人や中小法人を取り巻く経済環境はますます厳しくなっていくものと思われます。そんな中、より保障をシンプルにしたものや、割安な保険料で積立も出来るような消費者に有利なものが開発されて市場投入されたため、「保険を見直すと固定費が下がる」「有利になる」という風潮が一気に広がったのです。

そうして生まれた生命保険見直しブームに伴い、消費者側でも生命保険に対する基礎的な知識もかなり増え、保険会社ペースで加入した生命保険商品をもう一度検討し直してみようとする方も増加しています。また、退職金の支給や公的年金に不安を感じる方は、自分自身で老後の資金を賄うことを真剣に考える傾向も強くなっていきました。

そして事実、いまや生命保険は全く同じ保障内容でも、掛け金にもよりますが場合によっては数百万円から数千万円もの違いとなってしまうケースもあるのです。
こういった情報は、これまでオープンになっていませんでした。厳密にいえば、今でもネットでつまびやかに情報公開することは法律違反となってしまう可能性があるため、比較サイトなどで情報収集しようとしても一定のところで(「一括資料請求」や「お問い合わせ」などで)止まってしまい、そこから先には進めない仕組みになっています。「生保募集人資格」を持っている販売員に相談して、はじめて正確な見積もりが取れる仕組みになっています。

とはいえ、こうした垣根は近い将来には有って無いようなものになっているのではないかと予測します。

私見ですが、この情報化社会が進んでいる中で、故意に情報を制限したり歪めたりすることは結局意味をなさないどころか、最終的には売る側に不信感が持たれるなどのデメリットが大きいようになると思われるからです。
わたしは生命保険をはじめとする消費者の資産についてコンサルティングする立場ですが、これからの世の中こそ、真っ当な商品開発・消費者の為になる情報提供をすることが大事なように感じます。消費者優位の金融資産選択が、容易にできる・・そんな時代の到来を願ってやみません。

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