高額商品は増税前に急いで買った方が得か?


2012年の末頃、これからの増税が一目でわかる「増税」カレンダーというのがネットで話題を集めていました。「ありがとう民主党」という皮肉コメントが寄せられるのもよく分かるほど、増額、増額の目白押しです。

一目でわかる「増税」カレンダー


さて、このように税制が大きく変わろうとしているなか、ときどき「高額商品は増税前に買った方がお得!」という意見を耳にします。経済評論家やファイナンシャルプランナーといった肩書きの方が雑誌広告などでそう言ってたら、そのハラはスポンサーや仲介業者などが高額商品を買わせたいために言わせているだけ、と考えていいと思います。

ご存じのとおり、2012年8月に消費税増税法が成立しており、現行5%の消費税率は
○ 2014年4月から8%、
○ 2015年10月から10%、
と2段階で引き上げられることが決定しています。3%から5%に引き上げたのが1997年ですから、17年ぶりの引き上げとなります。

今回は、住宅や自動車などの高額商品を消費増税前に買うのは本当にお得なのか?を検証したいと思います。個人的に、この手の経験では苦い思い出があります。

2008年、わたしは清水の舞台から飛び降りる覚悟で自宅マンションを購入しました。
背景としては

  1. 近い将来、消費税は上がると確信していたこと、
  2. 住宅ローン金利が低いうちにローンを組んだ方がよいと判断したこと
  3. 2009年末にも住宅ローン減税が無くなりそうだという記事をネットで読んだこと、

など、他にも幾つか事情がありましたが、最終的に購入に至った決め手は、資金繰りリスク(=住宅ローン)を取ったとしても、それ以上の満足感を得られる住居だと判断したためでした。

この買い物自体が失敗だったとは今でも思っていないのですが、2008年といえば何が起こったかと言えば、もうご承知のとおりです。この年の秋、リーマンショック事件が発生し、世界的な金融不安により日本の景気も大きく後退しました。そして日本の不動産市況も大きな影響を受けました。

この結果、わたしの目論見は全く外れてしまいました。
銀行の住宅ローン金利は、ここ数年まったく上昇しておらず、それどころか消費税増税前の駆け込みを狙ってか、住宅ローン金利は更に下がっています。今の住宅ローン金利は、10年固定金利で最優遇金利なら1.1~1.3%程度という「過去最低」の水準になっているのです。

また、住宅ローン減税も打ち切りどころか、延長と制度変更を繰り返しています。わたしが住宅ローンを組んだ2008年には最大控除額は160万円でしたが、2009年には住宅の需要創出などの狙いから、最大控除額は600万円に引き上げられました。結果論ですが、2008年と2009年では、たった1年違っただけで、控除できる所得税額が最大400万円以上も違ったのです。

住宅ローン控除


出典:http://allabout.co.jp/gm/gc/25777/

この制度は2013年末までとなっていましたが、消費税の増額に対する軽減措置として、5年間の延長と増額が検討される見通しとの報道がありました。この報道が事実となれば、税率が上がる前に買うのが有利なのかどうかはさらに微妙となります。

ここまでを踏まえて、今後の「消費税の税率が上がる前に買うべきか?」に話を戻します。

一般的に人生で一番大きな買い物となる「住宅」ですが、5%から8%への3%の引き上げは大きな違いになります。ただし、土地には消費税はかかりませんので、建物部分のみ消費税引き上げの影響を受けます。

例えば5,000万円の住宅で、
○ 土地・・・3,000万円
○ 建物・・・2,000万円
とすると、消費税の引き上げの対象となるのは建物の2,000万円だけです。

消費税の引き上げ前後で比較すると、
○ 引き上げ前・・・5,100万円
○ 引き上げ後・・・5,160万円
と60万円の違いになります。

まったく同じ住宅ならば、60万円の違いでも大きいと思われがちですが、率にすると1%程度の増額に過ぎません。それに、住宅のような大口商品は、引き上げのあとの売り上げの落ち込みは激しくなるでしょう。そこを狙って、あえて2014年4月以降に購入して、100万円でも値引いてもらえれば、そちらのほうがトクとなります。

また、駆け込み需要のあとには価格下落があるものです。
例えば、液晶テレビはエコポイント終了後、駆け込み需要が終わった事によって急激な価格下落に見舞われました。エコカー補助金制度のあった自動車でも同様でした。この消費税導入でも、きっと同じ事が起きるでしょう。

それに、住宅ローンの最大控除額は2013年に入居の場合、最大200万円ですが、報道された制度変更が実現した場合には、控除額は最大で500万円となります。減税額は10年間のトータルであり、しかも所得税額や借入残高が一定規模以上あるということが条件になりますが、その条件を満たしている人にとっては、消費税増税の影響より、住宅ローン減税の延長と控除額の増額のほうが、むしろ吉報と言えるかもしれません。

「住宅ほどの大きな買い物をするときに、税制変更による影響を受けたくない」ということだったら、はじめから影響を受けない買い物をする手もあります。中古住宅だったら土地・建物はどちらも基本的に非課税ですから、消費税増税の影響を受けるのは手数料ぐらいです。その一方で、新築住宅と比較して住宅ローン減税の諸要件が厳しい、リフォーム費用が別途必要などのデメリットもありますが、どちらがいいかは個人の好みや物件の条件などによって決まってくるでしょう。

不動産や自動車などの高額な買い物は、わたしもリーマンショックのときに住宅を買って経験しましたが、外的な要因などによっても価格下落に見舞われる可能性があり、いつ買うのがいいかは非常に難しい判断です。

消費税の引き上げ前後は様々な情報が舞い込むために、住宅購入などを検討していたら増税前には「急いで買っとかなきゃ」とあせる気持ちになるかもしれませんが、くれぐれも冷静に判断したいものです。

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