保険業界激震 委託型募集人が廃止へ


週刊ダイヤモンド2014/1/11号に、衝撃の記事が掲載されました。

金融庁の豹変で保険業界激震
迫られる代理店運営の見直し


保険業界には「委託型募集人」と呼ばれる形態があります。「募集人」とあるように保険の営業マンの一形態ですが、通常の使用人(=社員)と異なり、雇用関係がありません。

分かりやすいように昨今はやりの保険ショップに例えてみます。店頭のカウンターの奥に座っている人がいたら、普通はその保険ショップに勤める社員と思いますよね。でも実は、その人は保険ショップに委託されている個人事業主であって、社員じゃない場合があるということです。

ダイヤモンド誌によれば、こういった雇用形態の保険の営業マンは生損保あわせて5~6万人いるそうです。通常の雇用形態との違いは、成果報酬型の賃金体系を採っていること、出社義務が週1回などで常勤ではないこと、社会保険に未加入の場合が多いことなどです。

消費者目線で言えば、営業マンの雇用形態がどうであれ、納得して加入した契約が適切に管理されていて、加入した目的どおりに機能すれば何の問題もないでしょう。しかし代理店側からみれば、これまで10年以上にわたって事実上認められてきた雇用形態が保険業法違反と明言されたのですから大変です。一定期間内に、営業マンの雇用形態を正社員などに変えるか、営業マン自身が独立して法人化するか、諦めて廃業するか、など何らかの選択肢を取る必要があります。

確かに「委託型募集人」の一部に、商品やコンプライアンスなどの教育が徹底されていない営業マンがいるのは事実です。残念なことに誤解を生むような説明で保険加入を迫ったり、手数料の入る新契約を獲得することには熱心だけれども手数料の入らない既契約のメンテナンスはおろそかにするような、モラル上たいへん問題ある募集人は存在します。だからこそ当局は問題視したため、委託型募集人の廃止が決まった訳です。

しかしそういった保険の販売等に関する諸問題が、委託型募集人という雇用形態を廃止することで全て解決するかというと、これはそう簡単ではないように感じます。不適切な保険販売などは、委託型募集人にかぎらず正社員でも起こし得るからです。

何れにしろ、”委託型募集人廃止”の方向性は決定しました。代理店にとってはコストアップを覚悟で雇用形態を正社員などに変える、人を減らすなどの対応をせざるを得なくなります。もし正社員化するとなれば、最低賃金法の対象になりますし、社員の社会保険料を会社で払う必要性もあります。記事によると最大手の保険代理店は、約1600人もの委託型募集人を抱えていると指摘されています。

もし1600人を正社員にするとなれば、会社負担はどうなるでしょうか。新たに社会保険料が発生する場合の単純計算でカウントしてみます。年収400万円の社員ひとりに掛かる社会保険料(事業所負担)が、だいたい年額50万円ですからこの年収水準の正社員を新たに1600人かかえるとすれば、50万円×1600人=8億円/年ものコストアップになる計算です。これは一例に過ぎませんが、正社員化する場合のコストは大変な金額になることが分かります。

保険代理店のあり方が、今後抜本的に変わることになりそうです。次に、このことが消費者へ及ぼす影響を考えてみたいと思います。

<続き>
委託型募集人の廃止 一般消費者にも計り知れない影響が?

カテゴリー: 生命保険, 生命保険募集人 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です