アベノミクスと企業経営は関係ない?


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◆「アベノミクス効果で景気は良くなりましたか?」

最近、中小企業の経営者からよく聞かれます。
経営者であれば、だれでも世間の景気動向は気になるところです。

新聞の発表によれば、大企業の設備投資が増加に転じていること、メガバンク、証券会社、あるいは自動車会社が過去最高利益を上げているようです。これは日本銀行が4月4日に決定した「次元の違う金融緩和」(黒田東彦総裁)による株高、円安が影響していると見られますから、国内の消費需要が増加したわけではないように思えます。

国内小売業では、三越伊勢丹などのデパートが大幅に売り上げを伸ばす一方、ヤマダ電機は減収減益と報じられるなど、その他の小売業は伸びていません。また自動車販売は、国内ではトヨタやホンダ、マツダなどが小型車を中心に好調と報じられており、↓こちらのエントリーで書いたようにメルセデス・ベンツなどの高級外国車も絶好調のようです。

メルセデス・ベンツの売上が過去最高に 輸入車が売れまくっているワケとは?

株高で儲けた資産富裕層がデパートで高級装飾品や衣料を、そして消費税の増税前の駆け込みで自動車が売れている構図が見て取れます。マンション、住宅の販売もかなりの販売増加がありましたが、これも来年4月からの消費税アップ前の駆け込み需要が要因と考えられます。

◆安部首相のスピーチ

わたしは経済評論家ではないので政策がどうこういうつもりはありませんが、こんな話があります。2013年6月に都内のホテルで、安部首相が今後の成長戦略についてスピーチされました。会場には大勢のマスコミ関係者、企業経営者がスピーチを聞きに来ていたそうです。

内容は首相官邸ホームページのこちらから。
安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」

このスピーチについて翌朝刊の社説は「成長戦略といっても具体性がない」「理想はわかるが、実現するために何をするのか」「本当に出来るのか」といった記事が目立ちました。各紙の社説まとめはこちら

記事を書いた記者たちはきっと、より具体的な成長戦略を知りたかった(もしくは新味のあることを聞きたかった)ために否定的な論調になったのでしょう。

でも実は、安部首相のスピーチを直接聞かれた経済評論家のお話によれば、会場につめかけた大勢の企業経営者からは拍手喝采で大盛況だったそうです。なぜかといえば、首相自らが明確に「民間の活力を最大限に使う」「そのために規制緩和なり打つべき手を打つ」と発言したからだそうです。

否定的な新聞の論調と、拍手喝采の企業経営者の反応。まるっきり違います。なぜこのような違いになったかといえばサラリーマン(新聞記者)と、企業経営者のアベノミクスに対する期待値が違うからかもしれません。

◆アベノミクスでタニタ食堂が生まれたか?

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いつも大混雑のタニタ食堂。安部首相のスピーチ中、「新たな健康長寿産業の創造」の一例として、このタニタ食堂があげられています。一部を要約すると、こうなります。

・タニタ食堂のような、これまで想像もしなかった健康長寿ビジネスが、民間主導でどんどん生まれている
・しかし、いまは医療行為との線引きが不明確でありどこまでやってよいのかわかりにくいという問題がある
・そこで、民間の健康・予防サービスへの新規参入のための新たな仕組みを作るから、どんどん新規参入して欲しい

「タニタ食堂」は、もちろんアベノミクスの賜物ではありません。もともと計量器メーカーのタニタが、「健康と食」というジャンルに新たなチャレンジをして生まれた大ヒットです。

日経トレンディ12月号の「年間ヒット商品ベスト30」によると、今年のヒット商品の1位は「コンビニコーヒー」です。2位はスマホゲームアプリの「パズル&ドラゴンズ」です。これらとアベノミクスが関係あるでしょうか?「半沢直樹」や「あまちゃん」も同じです。なにも関係ありません。

大ヒット商品を作るのは民間企業の努力の賜物であって政治は関係ない。つまりアベノミクスがどれだけ凄い効果をあげても、本質的には企業の売上も利益も上がらないのです。ある経営者の集いで、業種もばらばらの中小企業経営者が50人ほどいるなかで、「アベノミクスが経営に影響しているか?」というアンケートがありました。結果、挙手したのは数名程度にすぎませんでした。実はそんなものなのかもしれません。

とはいえ企業経営者からすれば、アベノミクスで市場環境がよくなればチャンスです。だからこそ「民間の活力を最大限に使う」「そのために規制緩和なり打つべき手を打つ」と発言した安部首相に拍手喝采があったのでしょう。

◆アベノミクス消費は続くのか

企業は、ヒト、モノ、カネ、情報などを用いて製品・サービスを製造・販売します。継続的な成長のためには、自社の品揃えにヒット商品を作ることが欠かせません。ヒット商品を国が作ってくれることなんてありえないですから、企業としての成長戦略は経営者が判断すべきことです。そして企業が儲かれば普通は社員に還元されますから、家計も助かります。

日本人の平均所得は20年前の500万円から100万円も減って、今や400万円です。
安部首相は成長戦略スピーチの最後に、「成長戦略がうまく実現すれば平均所得は10年後に現在の水準から150万円以上増やせる」という考えを述べています。

実は、上述の日経トレンディ12月号の「年間ヒット商品ベスト30」の3位は「アベノミクス消費」です。いまは好調な個人消費ですが、消費税引き上げによって一旦落ち込むのは確実と思いますので、まずは来年4月が安倍政権にとっての最初の試金石になります。

単なる株高、円安景気に終わってしまわないよう安倍首相の手腕に期待します。

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