「たくさん売りたい」があなたの目を曇らせる


栄枯盛衰という言葉があるように、商売がいつまでも順調にいき続けることはありません。

事業や商品の売り上げや利益がどんなに出ても、いつかはピークを迎えて衰退するときを迎えます。そんなときには、なぜ売れなくなったか。その原因をはっきりさせれば、顧客からの支持を取り戻すきっかけにすることができます。

「たくさん売りたい」があなたの目を曇らせる (プレジデント2013/11/4号の記事)

でも、実際には目先の売り上げや利益、これまでのビジネスモデルへのこだわりなどによって、儲からない方向にどんどん向かってしまいます。たくさん売ろうとするものの、顧客ニーズにあうものを提供できず、さらに業績が悪くなるという負のスパイラルに陥いることがあると思います。

最近読んで共感したのが、セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが説く「売り続ける発想法」です。特に共感した5つのポイントをご紹介します。

1.値段を下げて売らない、品質の良いものを売る

顧客は初めて見た価格に期待値を設定するため、高価格であればあるほど価値があるものと認識します。

金の食パン




例えばセブンプレミアムで大ヒットとなった金の食パンです。一斤6枚入りが250円。その隣に100円の食パンが売られていたら、100円の食パンに対して顧客は「きっと値段なりの味なんだろう」と認識します。一方の250円の食パンに対しては、顧客は「そんなに高いんだったら、きっとおいしい食パンなんだろうな」という期待値を設定するのです。

これまでプライベートブランドの商品といえば、ナショナルブランドより安い価格帯で販売されるのが常識でした。金の食パンは、あえて手でこねる工程を導入して、専門店レベルの味を引き出すことに成功したそうです。

来年からは消費税が上がります。その影響から、来年からは消費の落ち込みが予想され、その対策としてつい値段を下げる発想に傾きがちです。しかし本当は逆で、価格競争には乗らないで上質な物を提供することが、消費者の財布のヒモをゆるめることにつながるのです。

2.ライバルがいない状態を作る

いま日本でいちばんコーヒーを売っているカフェはどこでしょうか。実はマックでもドトールでもスタバでもなく、セブンイレブンの「セブンカフェ」です。

去年までは日本マクドナルドの「マックカフェ」が年間3億杯を売ってトップだったそうですが、セブンカフェは開始1年足らずでマックカフェを追い抜き、日本一のコーヒー販売店の座に就くのは確実な状況ということです。

セブンカフェ




今でこそ、どのコンビニチェーンでも淹れたてコーヒーが買えるカフェ戦争状態になっていますが、実は「セブンカフェ」は最後発だったそうです。先行する他のコンビニやコーヒーチェーンの味・値段などを徹底的に研究し、コーヒーサーバーまで自社で作り直した結果、今年の流行番付に乗りそうな大ヒット商品となりました。

最後発なのになぜ大ヒットになったか?といえば、味に徹底的にこだわったことに加えて、100円ワンコインに価格設定したことが大きかったと思います。他のコンビニチェーンのコーヒーは150円~180円が中心の価格帯ですが、セブンカフェなら100円と缶コーヒーより安く、本格的なドリップコーヒーが楽しめます。ついで買いもできるお手軽で、上質です。私も、缶コーヒーを買わずにセブンカフェを利用するようになりました。

手つかずの「空白地帯」を埋める商品を作ったことによって、ライバルがいない状態になり大ヒットにつながったのです。

3.ネクタイの役割は「首に巻く布」ではなく「新しさ」

ひとむかし前まで、ネクタイの役割は「首に巻く布」で奥さんが買ってくるものでした。ビジネスマンは毎日、仕方なしに首に巻いていたのです。しかし今、ビジネスカジュアルやクールビズが広まったことによって、ネクタイを締めるシーンは一般的にかなり減りました。「ネクタイは特別なときだけにつける」層が急増したのです。

ネクタイ




これに関連して、少し前に面白い体験をしました。とある経営セミナーに参加していたときです。出席者はほぼ全員男性でした。司会者の「この中で、今日締めているネクタイを自分で選んで買われた方?」という質問に対して、男性の7割ほどが挙手しました。これがどういうことかと言えば、ネクタイを買う購買層と動機がすこし前と全然違うということです。

そもそも本質的に、ネクタイの需要がどこにあるかと言えば「新しさ」にあります。これまで着ていた黒いスーツに合うネクタイの色・柄と、新調したベージュのスーツに合う色・柄は違います。それに加えて、ネクタイの位置づけが「特別なシーンでしか着用しないもの」になっていたら、売れるデザインや単価なども変わってくるでしょう。

モノ余りの時代であっても、顧客は常に新しいものを求めているのです。

4.未来から現在を逆算する

少子高齢化と言われて随分たちます。たいていの方は、その言葉の響きからネガティブなイメージを受けます。

しかし、本当にそうでしょうか。少子高齢化だからこそ伸びるビジネスモデルや、売れる商品は必ずあるはずです。セブンイレブンでは、セブンミールという食事の宅配サービスを2000年からいち早く始めたそうです。今は全国のイトーヨーカドーでも宅配サービスを展開しています。

2013/10/23の日経新聞には、「ネット通販が高齢者に好評」という記事が載っていました。小売の市場規模は2000年の135兆円から現在まで、ほとんど変わっていません。その一方で、ネット小売の市場規模は4兆円から10兆円と倍増しています。これから先、リタイアを迎える方はパソコンの利用に抵抗がない人々が多いと思います。ITリテラシーを持つ方が高齢者にも増えていくことが確実だと考えると、リアル店舗におもむかなくても届けてくれるネット通販の市場規模はますます拡大しそうです。

だったらリアル店舗は全てだめになるか?というとそんなことはなくて、例えば2013年度決算だと三越伊勢丹は過去最高益を達成していますし、コストコやIKEAなども大人気です。ネット市場だけがひとり勝ち、というわけではありません。顧客は次にどんな新しいものを求めるか?という潜在ニーズを察知し、一歩先の未来から発想することで新しい商品、売り方が生まれるのです。

5.誰もしないことに挑戦する

時代劇にでてくる「おぬしワルよのう、越後屋・・」というワンシーンはよく知られています。この越後屋がのちの三越であることはよく知られていますが、なぜワルの越後屋というレッテルを張られたのでしょうか。

越後屋




これがなぜかといえば、実は越後屋が画期的なイノベーションを巻き起こして儲かりまくってたため、という説があります。要は嫉妬です。ではどんなイノベーションだったのか。以下、こちらのサイトから引用させていただきます。

新参ならではの創造と革新

かつて江戸では「伊勢屋 稲荷に 犬の糞」といわれるほど、伊勢商人の活躍が目覚しかった。その代表的人物が、越後屋の三井高利である。

当時、呉服物は高価な商品であり、着ることができたのは裕福層や一部の武士などに限られていた。それゆえ老舗の呉服屋では、屋敷を訪ねて品物を売る「屋敷売り」、注文を聞いて後で届ける「見世物商い」が一般的であった。

だが、新参の越後屋が老舗と同じ事をしていても勝負にはならない。そこで「諸国商人売り(地方商人への卸)」「店先売り(店頭販売)」「現金正札販売(現金廉売)」「はぎれ売り(少量販売)」「即時仕立て」など従来なかった商法に転換、顧客満足の視点から創造と革新に挑戦し、自らの活路を切り開いていった。

とりわけ薄利多売を旨とした。「現金掛け値なし正札商法」は、「呉服物は紛い物多く、素人目には品定めが難しい」といわれた時代に、「遠国の田舎者、女童も値切らずに買って喜ぶ正札商法」と大評判を呼び、「お客様が遠くからみえて、朝から昼まで買い物をしていただいたほど」(商売記)だったという。



新しいことに挑戦するのはリスクも伴いますが、顧客ニーズに的確に応えることができれば大きな成功を得られます。これからは毎年人口が減りますから、何もしなければマーケットは萎みます。今の時代、何も挑戦せず変化もしないほうが、むしろリスクはあるのかもしれません。

挑戦するから分かることがあるはずです。大い脳に刺激を受けました。



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