じぶん年金を作るなら、まずは確定拠出年金の有効利用を検討すべき


前回のエントリーの続きです。

<前回エントリー>
25年度「生活保障に関する調査」 将来に対する不安傾向が明らかに

前回のまとめで、公的年金が足りなくなりそうだからといって、民間の生保会社が販売している個人年金保険を使うことは必ずしも正解とは限らないと書きました。なぜなら、いま日本国内で売られている生命保険の予定利率(よていりりつ)は1%代の商品が中心で、歴史的に見て最低水準だからです。予定利率とは、生命保険の契約者に対して約束する運用利回りのことです。

予定利率が高ければ高いほど契約者にとってお得ですが、残念ながら今売られている生命保険はそうなっていません。しかも生命保険の利率というのは、特殊な商品を除いて加入時の利率がずっと適用されます。短期解約すると元本割れしますし、じぶんで運用先を選んだりすることもできません。このことから私は、いまの情勢だと個人で加入する生命保険は積み立てには不向き、保険本来の保障メインで買うべきだと考えています。

とはいえ年金不安に関しては、いま大変な注目を集めていることも確かです。以下の参考リンクにあるように、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/9月14日号)は「ここまで減る! あなたの年金」という特集で衝撃的な予想を書いていました。

<参考リンク>
恐ろしい老後~年金受給額半減、あと20年で積立金枯渇?消費増税も加わり…

(以下、一部抜粋です)

平均月収が35.8万円の男性単身の場合、09年度に65歳を迎えた男性の受け取り額は15~16万円だ。25年度に65歳を迎える1960年生まれの場合は試算では12.7万円、85年生まれの場合には、7.7万円まで下がってしまうのだ(厚労省の試算は13.1万円となっており、大きなズレがある)。

すでに制度は破綻している。だからこそ、抜本的な社会保障改革が必要だったのだが、後回しになってしまった。

消費増税とセットで行われていた自公民の社会保障改革の三党協議も、抜本的な改革を主張する民主党と現行制度の手直しを主張する自公の間で議論は平行線をたどり、結局、消費税率10%への引き上げと必要加入期間の短縮、厚生年金の適用拡大といった制度の充実案だけが決まった。抜本的改革への道は、ますます険しくなりそうだ。

このような状況だからこそ、危機感を覚えて早くからじぶん年金を作るべきだと考える人は、増えて当然です。その受け皿として、月額5万円を積み立てて1億円のじぶん年金を作ろうというような新しい金融サービスも出てきています。しかし年金の積み立ては一般的に超長期の運用となるからこそ、新興の金融サービスは不安、と考える方も多いでしょう。

そういった方向けの有効な手段が何かといえば、確定拠出年金だと思います。以下、サラリーマンでも自営業でも使える確定拠出年金の特徴をご紹介します。

◆確定拠出年金とは?

公的年金や企業年金は、国や企業などの責任で資金を運用するのに対して、確定拠出年金は、将来受け取る年金を個人ごとに区分し、自分で運用する仕組みです。運用は自己責任ですので、将来の年金額は増えることもあれば減ることもあります。

確定拠出年金


※この画像はこちらのサイトからお借りしました。

公的年金は今も確定給付型ですが、かつては企業年金も確定給付年金が中心で、将来もらえる年金額がある程度保証されていました。しかし企業年金の運用責任は企業にあります。実質利回りが約束した利回りを下回ってしまう「逆ザヤ」が発生してしまうと、会社の財政が逼迫してしまいます。AIJ投資顧問による年金の消失問題も、確定給付年金だったことが原因といわれています。そんな背景から、いまでは企業型の確定拠出年金を導入する会社が増えています。

確定拠出型の年金であれば、将来支払う年金額の責任を企業が負うことはありません。個人が責任を持ちます。「自己責任で自分で積み立てた分が、将来自分に払われる(積立方式)」点が、賦課方式の公的年金、企業年金と大きく異なる点です(積立方式と賦課方式の違いはこちら)。

自分で積み立てるため、個人ごとの年金資産持分が明確で、転職しても持ち運ぶことができるというポータビリティがあるのが大きな特徴です。なお、確定拠出年金として運用する商品は幅広く用意されていて、預貯金、公社債、個人年金保険、各種投資信託などの中から自分で選ぶ仕組みとなっています。ですので、例えば定期預金50%、投資信託50%など、年金運用先のポートフォリオを自分で設定することが可能です。

◆確定拠出年金に加入すれば税金が減る

確定拠出年金の掛金は、全額所得控除の対象となります。仮に、課税所得金額400万円の人が、1年間に24万円の掛金を払ったケースを考えてみます。こちらのページで計算しますと、所得400万円のひとの所得税と住民税の合計は363,500円となりますが、確定拠出年金を利用することによって、24万円分の課税対象金額が減少します。

所得が400万円なら所得税率は20%。住民税の10パーセントと合計30%ですから、

 ・24万円×30%=72,000円

72,000円分の所得税と住民税が浮くことになります。つまり

「本来はらうべき363,500円の所得税・住民税から72,000円が浮く」
もしくは、
「毎年24万円を確定拠出年金に預けているが、実質の掛金は16万8000円」

と考えることもできます。なお日本は累進課税ですから、課税所得が多くなればその分、所得控除の額も大きくなります。

さらに受取時においても、確定拠出年金は有利です。年金として受け取る場合には公的年金控除が、一時金として受け取る場合には退職所得控除がそれぞれ適用されるためです。

◆確定拠出年金のメリット、デメリット

以下、こちらのページからの抜粋です。

【メリット】
・転職先への資産移管が可能
・積立金残高がすぐに把握できて明確
・運用次第で老後の収入がアップする

【デメリット】
・運用のリスクを負う
・運用次第で老後の収入がダウンする
・現在支給開始年齢まで現金化できない

このなかで「運用のリスクを負う」点に不安を感じる方もいるかもしれませんが、前述したように年金の運用先を自身で選ぶことができるので、元本割れなどの運用リスクを防ぎたいのであれば、預貯金や公社債を中心としたポートフォリオを組めばよいと思います。

意外と注意が必要なのが、「現在支給開始年齢まで現金化できない」という点です。原則60歳までは引き出すことができなくなります。確定拠出年金の運用期間は長いので、余裕資金の範囲内でバランスよく運用先や額を決めることが大切です。さらに勤務先に確定拠出金制度があるか、ないか、自営業か、中小企業経営者か、などによって運用先や上限額などが変わってきますし、金融機関によって手数料にもかなり違いがあります。勤務先や証券会社などに確認したうえで、慎重に検討するべきだと思います。

【参考リンク】
優遇内容が知られていない「選択制確定拠出年金」による「じぶん年金」
投資家、フリーランス、自営業、中小企業社長に節税メリットがある「確定拠出年金制度」とは
選択制確定拠出年金制度の3つのデメリットとは?

カテゴリー: 年金, 生命保険, 社会保険 パーマリンク

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