ホテル業界でアパホテルがひとり勝ちしているワケ


私が地方に出張に行く際、必ずといっていいほどお世話になっているのがアパホテルです。どこに行っても中心部か駅近にある、清潔で安い、大浴場があるなどの安定感が魅力です。女性社長の「わたしが社長です!」のテレビCMでお馴染みのアパホテルですが、実はアパホテルはホテル業界の風雲児です。この12年間に客室数を約10倍に増やし、現在は3万5000室を突破しています。連結売上高1,000億円を超え、利益率は50%以上。なんと創業40年以来ずっと黒字経営で、ひとりもリストラしていないそうです。

不況でもアパホテルが儲かる理由

◆すさまじい集客力

私は熱狂的な千葉ロッテマリーンズファンでして、ホームタウンの幕張新都心によく出没します。幕張新都心といえば、アウトレットモールや幕張メッセ、イオンの本社が入居するオフィス棟などがある近代的な街ですが、ひときわ目立つのが地上50階建て高さ180mの超高層タワー、アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉です。このホテルは2013年9月現在、ホテル単体としての建物では日本でいちばん高層のホテルとなっています。

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前衛的なデザインから幕張のシンボルにもなっており、名実ともにアパホテルグループの中心的存在ですが、こちらのホテルで驚くのはその稼働率です。客室が1000室もあるのに、定員稼働率は脅威の99%だといいます。自分の経験でも確かに、直前に予約を取ろうと思って泊まれた試しがありません。あまりの集客の良さゆえ、こちらでは別館(500室の増床)が建築中です。

国内宿泊施設の平均稼働率は、シティホテルが60%、ビジネスホテルが57%で、リゾートホテルが38%、旅館に至っては23%(プレジデント2013.9.16号より引用)だそうです。シティホテルやビジネスホテルの場合は、80%を超えれば合格点と言われますが、都内のアパホテルの平均稼働率は90%超えです。店舗によっては100%を超えるそうですから、すさまじい集客力です。

◆すさまじい出店ペース

アパホテルのもうひとつの凄さは、出店ペースの早さです。ニュースリリースを見ると、日本のどこかに毎月1店以上のペースで新しいアパホテルがオープンしていることが分かります。2015年6月には、歌舞伎町のど真ん中に都内最大規模650室のビジネスホテル「アパホテル歌舞伎町タワー」が完成予定です。

異例の出店ペースの秘訣は何かというと、銀行から借り入れをせずに、すべて自社のお金で好立地を確保されているそうです。金融機関の融資判断が必要ありませんから、いい土地が見つかったら自前で現金調達。この方針が、異例の出店スピードを実現しているようです。

◆地方の事業所が減っている一因

地方の中小企業社長に聞いた話ですが、地方のオフィスビルのテナントがスカスカになった理由のひとつに、ビジネスホテルの大躍進があるそうです。ビジネスホテルを何室かおさえてしまえば、固定費の掛かる事業所や宿泊所を構える必要がなくなります。必要があれば新しく契約すればいいし、必要がなくなれば契約を延長しなければいいだけの話です。

地方都市に行ってみて、駅前には立派なビジネスホテルがあるのに、町全体は何だか寂れているように見える場合には、そんな背景があるかもしれません。オフィスビルの競合相手が、実はいまビジネスホテルになっている。そんな実態があるようです。

◆アパホテル発祥のサービス

アパホテルがひとり勝ちになった最後の理由ですが、実はサービス品質の良さが最大の理由だと思います。

・会員制度
今でこそホテルの会員制度は目新しくなくなりましたが、アパホテルが始めたサービスです。会員数は実に600万人。リピート率は脅威の80%を誇るそうです。

・キャッシュバック
仮に1万円払ったら千円キャッシュバック、という制度です。利用者にとって何が嬉しいかといえば、お小遣いになること。ビジネス客が大半ですから、1万円の宿泊費は会社の経費です。戻ってくる千円は自分のふところに納まりますから、サラリーマンにとっては密かに嬉しいというワケです。

・大浴場
殆どのアパホテルには大浴場が完備されています。自分を含め、オジサンには嬉しいサービスです。

・無線LAN完備
実はこれも、ビジネスホテルの中ではアパホテルが初だそうです。

・地域でいちばん安い!
アパホテルの店長は、ネットに強いひとにしか任せないそうです。何故なら、部屋代を決めていく権限を現場に渡しているからだそうです。ネットで地域のビジネスホテル相場を細やかに見ながら、集客が見込める日には高めに、そうでない日は最安値に設定する。当然料金は目まぐるしく変わるでしょうが、顧客からすれば検索していつも安いのがアパホテルであれば、安心感にも繋がります。高品質、低価格。これこそが高稼働率の決定的な要因のように感じます。

固定費を常に抱えるため高コスト体質で、過当競争といわれるホテル業界でひとり勝ちを続けるアパホテル。やり方を工夫すれば、高収益の会社はできる!というお手本のような会社だと実感しました。

参考文献:プレジデント2013.9.16号

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