決算前の残高証明と評価基準


(法人向けのエントリーで、少しお固めのお話しです)

◆保険の残高証明とは?

銀行で住宅ローンを組んでいると、少なくとも毎年1回は必ず住宅ローンの残高証明書が送られてくると思います。住宅ローン減税の控除証明書として必要となるためですが、これと同じように、会社の決算の際に取得しておきたいのが保険積立金の残高証明書です。保険会社に依頼すると、決算日現在の積立金、その年の配当金などを記した証明書が発行されます。

実は、会社の決算では、この残高証明書を取得しなければ、正確な保険積立金(積み上げられている配当金も含む)は把握できません。

◆法人保険の経理処理

法人の保険については、個々の契約ごとに経理処理を確認する必要があります。本来は資産計上すべきものを誤って損金算入していたら、意図はしておらずとも会社の経理処理としては課税逃れになりかねませんから、問題があります。これを防ぐために、個々の契約ごとに経理処理を明確にしておくことと、保険の時価評価をきちんと把握しておくことが大切です。

保険の時価評価は、一度も保険会社に照会を掛けたことがないということもあるかもしれませんが、実は保険の時価評価が帳簿残高と一致しないことがあります。なぜかといえば、配当金が自動的に積立金に組み入れられる契約の場合や、変額保険のように解約返戻金が運用実績に応じて変化する契約の場合、この保険の時価評価が帳簿から漏れていることがあるからです。おろそかにしがちですが、毎年1回は期末残高を確認しましょう。

◆法人保険の評価基準

積立金のある法人保険の場合、社長の勇退などにともなって法人から個人に名義を変えることがあります。もちろん解約して現金を取り出すこともあります。

このようなときに必要なのが、保険の残高証明書です。保険の評価は①保険料の総支払額、②資産計上額、③積立金の額(時価評価)のいずれかで成されるべきですが、わが国のルールでは所得税法の通達によって③で評価するルールになっています。

一般的に保険契約を解約する場合には、保険会社から所轄の税務署に支払調書という書類が発送され、保険料の総額と解約したことにより発生する返戻金が通知されます。つまり誰にいくら保険金が払われたかを、保険会社からの調書によって税務署は把握しているということです。

しかし名義変更の場合には、こうした調書が発行されないために、適切な時価評価で譲渡されたかどうかは契約者のモラルによるものとなります。通常は「役員会できちんと議事録付きの同意をとり、残高証明書の額できちんと有償譲渡する」ことが正しい処理となります。

同族会社のなかには会社のお金も社長のお金も同じ財布というような錯覚を起こしてしまう人もなかにはいますが、会社と個人のお金とは全く別物です。このような形で正しい処理がなされていないと、税務調査において追徴課税が認定されてしまうことがあります。あらぬ疑いを掛けられないためにも、きちんと個々の契約の経理処理と毎年の残高証明書などの記録を残し、適切に処置するようにしたいものです。

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