医療保険は今すぐやめて、タンス預金したほうがいい?


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転ばぬ先の杖。それが本来の保険のあり方です。
不幸にも事故などがあった際には遺族の生活費として役に立ちます。

その一方で、保険はある意味ギャンブル的な要素があります。事故が発生しなければ、保険会社が掛け金をかっさらっておしまいだからです。それでも万が一の事態に保障がなければ、残された遺族の生活が崩壊することもありますから、全く無縁でいられる人は少数派でしょう。

死亡保障性の保険については確かにそのとおりなのですが、「医療保険」や「医療特約」の実情はどうでしょう。消化できない一入院限度日数、ごく限定的な先進医療特約など・・・。実は「安心」という幻想にムダなお金を払っている人が多いといえます。

◆民間の医療保険の加入率は約92% 手厚い「公的」制度は意外と知られていない

民間保険会社(かんぽを除く)の医療保険・特約への加入世帯率は約92%。がん保険・特約は約62%です(平成24年版 生命保険文化センター調べ)。入院1日あたり1万円が保障される医療保険・がん保険に加入されるケースが一般的です。では費用対効果はどうなるでしょうか?

40歳男性が加入する場合、以下のようになります。

種別  : 終身医療保険
払込期間: 65歳まで
保障  : 入院1日あたり1万円、手術1回あたり20万円
保険料 : 6,010円/月額

月額6千円程度だから大した額じゃないと思いきや、25年間のトータルだと180万円も払う計算になります。この保険で元を取るためには、180日以上の入院か10回以上の手術が必要です。そんなに病院ばかり行ってられないような気がします。

さらに、日本には手厚い公的医療保険の制度が完備されています。医療費は一般的に3割負担ですが、医療費が高額となった場合に国が肩代わりをしてくれる高額療養費制度(100万円の医療費が発生した場合の自己負担は8万円程度です)に、所定の要件を満たすことで給付される障害年金、介護保険など。これらの制度を正確に知っている人は少ないと思います。

順序で言えば、「公的な保険制度をきちんと理解した上で、家計の収入や貯蓄を考えて、もし必要であれば民間保険を検討」すべきですが、どうも民間保険を盲目的に信じがちです。「だから、こんな保険はやめたほうがいい」という訳ではありませんが、まずは費用対効果を考えてみてから加入を検討すべきと思います。

◆タンス預金の勝ち?

民間保険には入らずに、毎月タンス預金したらどうなるでしょう。40歳から、月に6千円を25年貯めたとします。6千円×12ヶ月×25年=180万円が貯まります。結構な額ですね。これが言わば自家保険(老後の医療費)となるわけです。

民間保険の場合、被保険者は決まっています。通常、ご主人に掛けた保険は、奥さんのケガ・病気などはカバーできません。一方のタンス預金だったら現金ですからご夫婦の医療費にも使えますし、他の用途にも使えます。使い勝手でいえば、タンス預金に軍配があがりそうです。

◆入院日数は減少傾向 「医療」「がん」保険は、払い込み損に

医療・がん保険は、一定期間ごとに更新する「定期タイプ」と、少し割高になりますが保障が一生続く「終身タイプ」に分かれます。保険料は掛け捨ての定期タイプのほうが低く設定されていますが、現在の売れ行きの主流は断然、終身タイプです。

定期タイプは加齢により罹病リスクが高くなることからだんだん保険料が高くなっていき、保障はたいてい80~90歳で終了します。その一方、終身タイプはその名のとおり死ぬまで保障が続き、保険料が一定です。保険料が安く抑えられる若いころに加入して老後を迎えるまでに払い終えてしまいたいというニーズにあった商品といえます。

医療保険の標準的な保障内容は、入院日数に応じて支払われる入院給付金、手術ごとに所定の金額が支払われる手術給付金、手術に伴う通院日数に応じて支払われる通院給付金などで構成されます。一見すると充実しているように見えますが、実は落とし穴があります。

厚生労働省の調査によれば、病院の退院患者の平均在院日数は平成2年の時点では47.4日でしたが、平成20年は37.4日と、20年弱で10日も減少しています。

【退院患者の平均在院日数】

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しかも、その内訳を見てみると、入院の平均が50日を超える年代は75歳以上です。現役世帯では15~34歳で14日、働き盛りを含めた35~64歳でも27日と1カ月に満たないことが分かります。

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出典:厚生労働省 患者調査

◆実態にあわなくなりつつある医療保険

働き盛りを含めた35~64歳でも入院日数は27日。しかし医療保険は1入院限度日数60日型、120日型、それに180日型の3タイプが主流です。入院日数が加速度的に減っている昨今、入院給付金ベースの医療保険は実態に合わなくなりつつあると言えるかもしれません。

一方、手術給付金は、たとえまったく同じ診断書を提出しても、保険各社の判断によって、給付額が大きく異なるのが実情です。入院給付金も、入院すべてに給付されるわけではありません。出産のための入院や介護施設への入院などだと入院給付金は支払われず、保険各社所定の対象となる入院をした場合のみ、後払いで受け取れるというのが一般的です。

また医療保険に付けられる特約で、「先進医療特約」というのがあります。月額100円程度で加入できる、公的保険範囲外の医療費をてん補してくれる特約です。と書くと、とってもいい特約のようですが、実際には厚生労働省に認定された病気を、ごく限られた病院・術式で治療した場合にのみ支払われるルールになっています。

このように、医療保険にはさまざまな特徴、制約があります。安易に加入するのではなく、ご自身、家計にあったプランを検討すべきといえます。

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