先日、当社に生命保険の相談に来られた、アメリカで開業医を経験された小児科医から伺った話しです。
◆海外で入院・手術を受けるとどうなるか?
・子どもが旅行中に熱性けいれんなどを起こして1週間入院した場合、100万円以上掛かる
ケースは決して珍しくない。
・疾病と診療内容によっては、500万円~1千万円程度かかることもザラにある。
・クレジットカードに旅行保険が付いているからと個別に旅行保険に加入しない方が結構いるが
クレジットカードに付帯している旅行保険でカバーできる保険金額は、100万円~150万円程度であることが多く、大幅に不足する場合が案外ある。
・よって、海外旅行や出張に行くときは必ず旅行保険に加入するべき。
仮にホノルルで盲腸の手術を受けると平均で250万円くらい掛かる(しかも日本だと5日くらい入院するのが普通ですが、アメリカでは日帰りが普通といいます)。海外でケガ・病気になった場合に年会費無料のクレジットカードでカバーされる保険金額は200万円程度が上限ですから、幸運にも保障がもっとも手厚いカードを持っていたとしても、医療費が保険金を上回ってしまう場合が考えられます。
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◆これほど高額な医療費負担になる
日本とアメリカの医療保険制度はさまざまな点で違いがあります。
最大の違いは、日本では全国民が強制参加の健康保険制度がありますが、アメリカでは健康保険制度への加入義務はなく、自分の意思で健康保険制度に加入するか、民間の保険に加入する必要があることです。
日本では医療費の負担に関しては、一般的に2~3割で、さらに高額の医療費負担となった場合には、一定額以上をかわりに負担してくれる「高額療養費制度」があります。
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健康保険制度は、日本国内では民間の保険に入らずとも全国どこで医療サービスを受けても対象となりますが、海外で受けた医療サービスは対象外です。よって海外での医療費は全額自己負担ですし、海外の医療費用は一般的にかなり割高です。以下、その一例です。
出典:http://dime.jp/genre/15834/
ちなみに、現在日本だと虫垂炎の医療費相場は、約40万円(うち健康保険加入者の負担額3割で12万円)くらいだそうです。
◆海外旅行、出張前には、必ずクレジットカード付帯の海外旅行保険の内容確認を!
また別の、アメリカで食中毒となり救急車を呼ぶことになった方のお話しです。
意識も朦朧とするような吐き気と下痢に襲われているさなか、「保険に入っているか?保障内容は?」「入院、手術を希望するか?」「同意書にサインを」などのやり取りがあったそうです。
この方の場合、偶然にも医療費キャッシュレスに対応しているゴールドカードをもっていたため、医療費の支払いと現地でのやり取りなど含め全てカード会社を通じてでき、入院・薬代などの自己負担はゼロで済んだそうです。しかしもしゴールドカードを持っておらず、全額自己負担となったとしたら2万5千ドルもの高額な医療費負担になっていたそうです。たった1度の食中毒で、ひと財産飛んでいく。アメリカでは「個人破産の半数は高額な医療費が原因」といわれているゆえんです。
クレジットカードによっては「最大2000万円までの支払いを保障」と謳っていても、
・実際には死亡保障のみでケガや病気に対応していないタイプだったり
・現地での支払いは自己負担で後から医療費を補てんされるタイプだったり
するという、思わぬ落とし穴が潜んでいる場合があります。
だからこそ海外に出張・旅行の前には、ご自身のクレジットカードに付帯している旅行保険の保障内容の確認、そしてもし足りなければ旅行保険の加入を必ず検討しておきたいものです。その際に考慮すべきポイントについては、こちら↓のサイトが大変役に立つと思います。
【参考リンク】
海外旅行保険付きでしょ、このカード?海外で病気しても治療費もらえない?なんで?!
なお海外での入院・手術も、日本で加入した医療保険がある場合には支払い対象になります。請求を忘れないようにしましょう。