MRI問題 なんか聞いたことがあると思ったら、1年前の東電株の売り込みに似ていた


2011年の「安愚楽牧場」、2012年の「AIJ投資顧問」に続いて、またもや大規模な資産消失問題が発覚しました。「MRI」問題です。2013/4/27ごろより、多くのニュースサイトや、投資家のかたのブログなどで多数取り上げられております。以下、ニュースサイトより一部を引用します。

MRI資産消失 米本社が不正主導か 社長「大半残ってない」

資産運用会社「MRIインターナショナル」(本社・米ネバダ州)による資産消失事件で、一連の不正は米国本社が主導していた疑いが強いことが27日、関係者への取材で分かった。同社のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長(66)は証券取引等監視委員会の任意の事情聴取に「資金の大半が残っていない」などと説明。日本事務所の役職員が預かり資産の管理に関わっていなかったことも判明した。監視委は強制調査で押収した資料を分析し、役割分担など実態解明を進める。
MRIは、顧客から集めた資金を米国の診療報酬請求債権(MARS)の購入に充て、年6・0~8・5%の高利回りを出せると宣伝。だが、平成23年以降、運用の実態がなく、国内の顧客約8700人から預かった約1365億円とされる資金の大半が失われたとみられている。(中略・太字は筆者による加筆)

米MRI、監視委が強制調査 誇大広告 富裕層狙う

「絶対安全だと説明していたのに」

東京都千代田区のMRIインターナショナル事務所で、強制調査を見守った出資者は26日、一様に怒りや困惑の表情を浮かべた。
約5千万円を出資していたという世田谷区の男性(57)は、4月中に100万円以上の配当金を受け取る予定だったが、支払われなかった。25日夜に同社に連絡したところ、同社から「トラブルはない。会員数が増えたため処理に時間がかかっている」と説明を受けたという。「『元本は絶対に安全』と説明を受けて安心していた。そろそろ解約しようかと思っていた矢先に、なぜこんなことに…」と呆然(ぼうぜん)とした様子だった。
平成11年から出資を始めたという千葉県の男性(70)も5千万円を出資。昨年7月と12月にも配当が遅れたが「米国の本社に監査が入ったため」との説明を受けたという。
誇大広告で集めた出資金の大半は顧客に約束した運用に使わず、顧客への配当金支払いに流用していた。(中略)


◆「東電株が絶対もうかる」と聞いたことがある

この話を聞いたとき、「東京電力への1兆円公的資金注入」のニュースが大きく報道された2012年7月末ごろのことを思い出しました。このとき政府はどういうコメントを出したかというと、以下のとおりでした。

東電に1兆円公的資金投入 経産相「国有化は相当長期」

枝野氏は、「いずれ純粋な民間企業に戻って頂く」と述べた一方で、「これまで政府が公的資金を投入した金融機関や日本航空とは全く違う。同じようなタイムスパンで考えられない」と述べた。2003年に実質国有化されたりそなホールディングスは「脱国有化」までに8年かかった。東電はこれを大幅に超える見通しとなる。(中略)

当時の枝野経産大臣はこのように述べたのです。これを受けて、私の手元にも1本の電話が掛かってきました。某証券会社の営業マンからの営業の電話です。彼のセールストークはひと言でいえば、

東京電力への公的資金注入が決まりました。これから東電株は、確実に値上がりすると思いますよ。10年以上、実質国有化されるから安全です。買いませんか?

というものでした。

3.11大震災のあと、私が言うまでもなく未だに解決していない多くの問題があります。にもかかわらず、「絶対儲かるから東電株、買いませんか?」と言ってくる営業姿勢に嫌悪感を抱いたものです。個人的な体験より営業の電話は滅多に「ガチャ切り」しないようにしてますが、千葉県在住のわたしには身内に震災被害者がいることもあり、このときばかりは余りの不愉快さに、モノの30秒足らずで受話器を叩きつけたことを覚えています。

WS000039
もしこのとき東電株を買っていたらどうなったか。データでみますと2013年7月頃の東電株は120円~130円ぐらいでしたが、公的資金注入のニュースが出て一気に150円を突破。

一時は値下がりしたものの2013/5/1の終値は417円を付けています。確かに、営業のセールス電話どおりに東電株を買って、今日売っていれば3倍以上になった訳ですから、結果としてウソではなかったことになります。

でも自分としては、「しまった!あのとき東電株を買っておけばよかった!」とは全く思いません。モラルの問題もありますが、これは神のみぞ知る話しであって、もし「東電は一度解体する」という政府決定がなされていれば、東電株が紙くずになってしまっていた可能性もあったように思うからです。

◆やはり「うまい話」はない

個人的に、いち個人投資家として運用で気をつけていることは以下です。

  1. 分散投資
  2. リスクを理解する
  3. 損しても納得できる銘柄、サービスのみ買う
  4. 余剰資金でしか使わない
この4点に気を使っていても、大損する可能性も当然あります。

WS000040先に挙げた東電株の事例です。

2011年1月に2000円前後だった東電株は、2012年1月までの1年間で、時価1/10になりました。東電株を中心に資産形成していて散々な目にあった方も多くいると思います。ですが、原発事故直前までは「電力株は比較的安定している」「大崩れしない」というのが常識でした。

事実、2003年1月1日から2011年3月10日まで、東電の株価が2000円を切った日はありません。このように今は大丈夫と言われている銘柄でも、予想もつかない出来事によって資産が大幅に損なわれることもあります。ゼロリスクはあり得ません。

翻ってMRI社では、年6.0%~8.5%もの高利回りを出せると宣伝していたとのことです。かなりのハイリターンですから、相応のリスクがあったのです。だからこそ倒産したわけですが、MRI社のやり口を公開されているこちらのサイトから引用させて頂きますと、

「商品案内には、6.0%~8.5%という利回りが示されていたのみ。どういうスキームで、何に投資しているのか全く分からない」

という状態であったそうです。とすると、投資家は何をもって購入すると判断していたのでしょう。安定して高額配当が出ていたからでしょうか。

この手の「うまい話」の事例は、枚挙にいとまがありません。
「今この未公開株を買えば数年後には5倍、10倍になる」、「この運用商品は毎年10%以上の配当金を約束する」、上記の例にも出しましたが「今このタイミングで特定の株(東電株とか)を買えば確実に儲かる」などです。一見すると「うまい話」は確かに存在するように見えますが、またそれによって大切な資産を消失させた方が多数いることも確かです。

これは安愚楽、AIJ、MRIの諸問題に共通していることです。要は、「うまい話」かどうかを個人投資家が判断するだけの基礎知識。これだけは何が何でも必要だと思います。

◆他人に任せるか?自分で運用先を決めるか?

AIJのような企業年金の場合は、すべてを自前で直接投資するということは事実上不可能に近いと思いますが、個人の資産運用であれば保有する資産は、投資信託など他人に運用を任せることもできますし、個別株に投資するなどして自分自身で行うこともできます。

個人の資産運用は基本的に「他人に任せるか」「自分で運用するか」「何もしないか」のどれかしかありません。他人に任せるというと違和感を持たれる方もいるでしょうが、もちろんMRIのような詐欺ではなく、真っ当に資産運用をしているところも沢山あると思います。一概には言えませんが、運用可能資金の大部分を1つの運用先にまとめて預けるのではなく、分散させておくことが必要と思います。

投機王ジョージ・ソロスは「間違いを認められることが成功の秘密」と言っていますが、人間だれしも今まで信じ続けてきた投資スタンスと、その逆のスタンスを持つのは非常に難しいことです。こからは、個人投資家の資産運用のあり方が今まで以上に改めて問われていくような気がします。

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