多様化する販売経路

生命保険販売形態

生命保険を販売するためには、「生命保険募集人」という資格を取らなければいけません。この資格を取るには、生命保険協会の「一般課程試験」に合格し、金融監督庁長官に登録申請し、受理されることが必要です。と書くとなんだか難しそうですが、受験者には予め生命保険会社がとても手厚い研修を実施しますので、不合格になる人はごく稀です。

ここからは、生命保険の売り手の事情をお話ししたいと思います。人からすすめられて買うことが多い生命保険は、売り手の事情が結果として消費者に大きな影響を及ぼすことが非常に多いからです。

さて、今現在、日本国内には生命保険募集人の資格を持っている人は何十万人といますが、生命保険を販売しているチャネルは代表的なところで以下のような販売形態があります。

① 従来型のセールスレディ
② 外資系生保などのライフプランナー
③ 乗合代理店
④ 来店型の保険ショップ
⑤ 銀行、証券会社などの窓口販売
⑥ ネット通販

ここでごく簡単に、生命保険販売の形態が多様化してきた推移をご説明します。

生命保険販売は長きにわたり、①従来型のセールスレディに『お勧めされて(仕方なく)入るもの』でした。お昼休みにもなれば各職場にセールスレディが派遣され、アメや雑誌などを配り、すこし顔見知りになってから「あなたにピッタリの保険があります」とセールスをして、契約に結び付けるやり方です。私が新卒で社会に入った10年ほど前は、まだこういった販売チャネルが圧倒的に多数派で、同僚の中にはしつこいセールスが嫌で、仕方なく保険に入る人も少なくありませんでした。

それに続く勢力は、②外資系生保のライフプランナーです。たいていの場合は他業種でトップセラーだったスマートな男性をヘッドハンティングして採用するやり方で、従来の生命保険販売の問題点を指摘することで不満を呼び起こし、必要な保障から保険選びまでを理論的に説明。時には感情にも訴え、生命保険は最も大切なものという価値観を消費者に伝えて契約に結び付ける手法で、浸透していきました。

複数の保険会社の商品から消費者にあったものを組み合わせて選ぶという新しい販売手法

生命保険は自分で考えて入るもの。そんな価値観が浸透し始めた時、金融自由化の流れもあって登場したのが、複数の保険会社を取り扱う③乗合代理店です。それまで販売手法の違いはあれど、セールスパーソンは自社の商品のみをお勧めする構図でしたが、乗合代理店は、複数の保険会社の商品から消費者にあったものを組み合わせて選ぶという新しい販売手法を展開するようになりました。ちなみに著者の私は、この乗合代理店に勤務しています。

さらに、④来店型の保険ショップは、従来の訪問ありきの販売スタイルをやめて店舗を構え、必要な時に来店して生命保険の相談をする形を浸透させました。

そして2001年4月から⑤銀行、証券会社などの窓口販売が段階的に解禁になりました。2007年4月からは、全面的に解禁されています。メガバンクなどでは、保険だけでなく資産運用や住宅ローンなどをワンストップで相談できる体制を整備しています。

また、その一方で⑥ネット通販も徐々に浸透しています。ネット生保の強みは何と言ってもその安さです。一部のネット生保は保険料の内訳まで公開し、CMなどメディアを通じ情報の透明性と価格の合理性をPRしています。

このような販売形態の多様化は、消費者の立場からすると選択肢が広がったという意味では間違いなく「いいこと」でしょう。

しかし残念なことに、現実は必ずしも消費者にとっていいことばかりではないのです。全体的には販売チャネルは多様化されてきているといいながらも、個別にはやはり売り手の都合が優先される場合がたくさんあるからです。

誤解のないように言いますが、多くのセールスパーソンは「お客様のために最善の提案、行動をする」ことに真摯な方が圧倒的に多いことと思います。それなのに、なぜ消費者のためにならない状況が生まれるのか。この背景を理解するためには、売り手の置かれている立場・事情を理解することを避けて通ることができません。最終的には、それが自己の加入した保険の満足度に大いに繋がる可能性があるのです。

 

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