「払い済み」をうまく使うメリット

保険料を途中で払済みにすることで、メリットが出る場合があります。
払済みというのは、保険料の払込みをストップして、その時点で一時払いで買える主契約の生命保険に変更する方法のことをいいます。当然保険金額は従前のものより小さくなりますが、主契約が少額で定期保険特約が大きい場合でも終身保険に変えられるといった効果もあり、上手く使うとさまざまな手が打てる有効な手法になります。

法人で加入した損金タイプの保険(逓増定期保険、長期定期保険)を払済みにしますと、経理上はその時点の、解約返戻金から資産に計上した額を控除した額、つまり損金経理でそこまで含みにしていた簿外の収益を、表に出す必要があります。せっかく今まで繰り延べしてきた利益を表に出すことで、そこで法人税を課せられたら払い済みするメリットはない、と考える方がいるかもしれません。

確かにその通りです。ずっと黒字決算をしている会社であれば、利益対策の効果がなくなってしまうということが言えましょう。わが国の税制では、青色申告法人の欠損金に関しては7年間の繰越をすることが認められております。つまり3年間の決算が赤字、赤字、黒字と推移した場合、3年目の黒字から過去2年の赤字分をマイナスすることができます。ここでマイナスしきれない場合、さらに次の決算に黒字を減らす効果がでます。ところがこれが逆の場合、例えば黒字、黒字、赤字となった場合を考えてみますと、先ほどの3期分と、通算の所得金額が同じであったとしても、この赤字について税金を戻してくれることはありません。つまり欠損金の繰越制度はあるにもかかわらず、繰戻し制度というのは通常はないのです。(法人開設後5年以内の中小企業の青色申告法人には、いずれかを選択することが認められていますが)これは、ある意味では税制リスクといえないでしょうか。

法人税は公平に課税される、一見当り前のようですが、本当にそうでしょうか。同じ期間で合計した時の所得金額が一緒でも、黒字赤字の順番が逆の場合、課税総額は異なってきます。ということになると、このような将来の税金のギャップを生じさせないよう、予め企業としても準備しておく必要がありはしないでしょうか。

そこで登場するのが、保険の含み益です。この隠れた利益は、企業が赤字になった時に表に出すことができます。保険の場合、企業の意思で任意にそのコントロールが可能という、大きな特徴があります。払済みという手法は、解約した結果、肝心な保険効果も一気に失うといった方法に寄らず、解約返戻金はまだ保険会社に預けたまま、保障(少なくはなりますが)と解約返戻金の運用というメリットを享受したまま、会計上大手を振って収益計上が可能という点にあります。もし作為的に利益操作をすれば、粉飾決算というそしりを免れませんが、払済みなら全くお咎めなしどころか、税還付と全く同じ効果が出るのです。保険証券をいくつかに分けておいて、税務上のこういったリスクが発生した時に、任意に払済みでコントロールできれば、これはもう生保戦略としては上級レベルです。

この他に、保険の仕組みで「失効」というものがあります。これは、保険料を払わなかったために、保険の効果が失われている状態をいいます。ある一定期間内であれば、未納部分の保険料を払って元に戻すことが出来ます。(保険の内容や失効期間によっては再度診査が必要な場合もありますので、お気をつけ下さい。)保険料が未払いの状態でその保険を放置していても、解約返戻金は保険会社にプールされたままの状態ですので、将来この保険を解約した場合には、当然会社は解約返戻金をもらう権利はあります。ということは、含み資産を保有していることになり、ある意味調整弁としての機能が働くということです。「保険料を払わなかったために保険が失効してしまった」という場合でも、保険会社の同意があれば復活することは可能ですから、こういった仕組みをうまく活用したいものです。

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