生命保険の下取り転換の、本当の意味

保険営業マンから、今加入している保険を下取りにして、ほとんど保険料を変えずに、より大きな保障のとれる保険に転換してはどうかと勧められることがあります。
この場合、どう判断したらいいのか迷う方も多いことでしょう。これは車の中古市場のように、古いタイプの保険も、一旦保険会社に引き取ってもらい、その引き取り価格を差し引いて新しい保険に作り変えてくれる、というふうに考えておられるのではないかと思います。確かに、下取りといいますか、転換制度というのがあります。これは、一旦前の保険契約を解約して、その解約返戻金を一時払いの新しい保険に組み込むという仕組みです。新しい保険のどの種類に、解約返戻金をどういう割合で組み込むかによって、いくつか転換の種類があるようですが、要は下取りといっても、そこで一旦前の契約が無くなってしまうということに、注意して頂きたいと思います。

 良くこの仕組みを理解しないままに、転換の勧めに応じてしまいますと、例えば、予定利率の高い保険に加入していたものを、知らずに解約して、低い予定利率の商品にシフトさせられるというようなことがおきます。下取り転換という、あまりよく訳がわからない仕組みのもと、表面的には今まで3000万円しか保障のなかったものが、同じ保険料で5000万円になって、転換した結果、自分の保険がよりよいものになったという錯覚をしているケースが、結構多いのではないでしょうか。

 ではどうしてこのようなことが可能になるのか、説明します。当初の3000万円の保険契約の中身を詳しく見てみますと、これは終身保険1000万円に10年更新で2000万円の定期特約という保険が加味されたものでした。つまり分かりやすく言いますと、一生涯の保険1000万円がベースにあって、それに10年という期間限定で2000万円の保険をプラスしている状態であったわけです。これを転換してしまった後では、終身部分が250万円で、定期特約が4750万円となっております。どうしてこのようなことが可能かというと、明らかに終身部分の保険料と、定期部分の保険料には相当の金額の差があるからということになります。従来の保険料のバランスは、かなりのものを終身保険のところに充当していたのに、転換後は定期の方によりウエイトをおいた保険料構成になっています。

さらに、前の保険の解約返戻金を一時払いで、終身部分または定期部分に充当することで、月々の保険料を相当圧縮することができます。このあたりを上手く使いますと、① 新しい保険は予定利率が下がって保険料が相当上がっている②年齢も上がってしまったので、保険料も上がる といったコストアップ要因を相殺することが可能となるのです。一見悪くない方法と思われがちですが、せっかく利回りの高い商品に加入していたものを解約することで、新しい保険の予定利率は低くされ、また終身のボリュームも極端に減ってしまいます。そのことをきちんと踏まえた上で、下取り転換をするならいいのですが、仕組みを全く理解せず、保険金額が上がったうえに保険料が安くなったと、喜んでいるのは、失礼ですが「してやられた」ということになってしまいます。

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