相続問題に生命保険を生かす知恵

保険金は死亡=相続開始時に、すぐに現金として出てきますので、まさに相続問題の主役ということになります。いろいろなタイプの保険がありますが、いったいどの保険をどのように活用したらよいのでしょうか。

よく生命保険に加入していて保険金が出てくると、それも相続財産にプラスされるので、税負担が多くなって不利だ、という方もいるようです。しかしながら、保険金がプラスされて税負担が大きくなるというマイナス面を考慮しても、相続財産にキャッシュフローが増えることで、納税が容易になるというメリットは計りしれないと思います。試算するとよく分かるのですが、保険金がなくて、即ちキャッシュがなくて納税に困る状態と、少し税額は増えるけど保険金の中から税金が払えるということと、さてどちらが問題が少ないかは、誰が考えても明らかかです。

 そこで、どのような保険プランが望まれるかという、本来の話に戻りますと。
まず保険の種類ですが、これはもう終身型の保険しかありえません。人間の寿命は自身で決めることができませんので、保障がエンドレスすなわち一生涯保険が適用される終身保険しかありえないのです。この終身保険にも、実はいろいろな種類があります。配当金のあるなしといった、瑣末な問題は別にしまして、大きく「定額終身保険」と「変額終身保険」があります。そのうちお勧めしたいのはこの変額終身保険です。

変額保険というと、例のバブルのときに問題になった怖い保険というイメージが先行しているようです。バブル時に銀行がらみの融資を受けて、保険会社が売りまくった運用商品としての保険は、変額保険でも「終身型」ではなく「有期型」が多かったと聞いています。それらは、10年間で運用成果を出そうとしたもので、その間の高利回りを売り物にした商品でした。ここでお勧めする、相続の為に入る変額保険は終身型で、別に利回りを取るのが主目的ではなく(もちろん運用成果が保険金に連動しますので、厳密には目的としていますが)、仮に運用がゼロ、あるいはマイナスの場合でも基本保険金が死亡時に保証されていますので、保険金を目的とした相続プランでは、ある意味ノーリスクといえます。ではなぜこの保険をお勧めするかといいますと、端的に申し上げまして、保険料が大変安いからです。

これは予定利率の差によっています。そもそも保険料の計算の元になっているのは、3つの要素から成り立っています。①預かった保険料の運用利回り ②保険会社の管理コスト ③被保険者の死亡リスク=平均余命 といったものをどのように見積もるかで、保険料が計算されるわけなのですが、③は簡易生命表という統計データを基にしますので、どこの保険会社でもほぼ同じリスクになります。あと②のコストについては、直営で社員を抱える方式の保険会社もあれば全て代理店でまかなっている会社もありで、かなり差が出てくるところです。ただしここはある意味では保険料の原価の部分ですから、なかなか保険会社が情報を公表していません。で、残ったのが①の運用利回りですが、このベースになる利回りのことを「予定利率」といいます。つまり保険会社が運用できると踏んだ金利のことです。「定額終身保険」には、現在の予定利率は1.65%前後で設定されている「無配当終身保険」「5年利差配当終身保険」がメインである一方、「変額終身保険」の現在の予定利率は保険会社に寄っても異なりますが、最も高いところでは3.5%になります。この運用差が、まさに保険料の差となって出てくるのです。

 もちろんそれぞれ、物事には一長一短あるように、この定額と変額の2つの終身保険にも、当然メリット・デメリットがありますので、そのあたりも十分検討することが必要であるということは言うまでもありません。確かに保険料は圧倒的に変額終身保険が安く設定できますが、変額終身保険の場合、運用により解約返戻金も上下しますので、途中で解約ということもある場合、それがリスクになります。むろん、相続対策で解約しないということでしたら、ほとんどリスクは無いといっても良いでしょう。このように、それぞれの保険には持ち味といいますか、働き場所がありますので、その特性を知った上でうまく使ってやることが望まれます。

今までは勧められるままに、あまりよく理解しないでハンコをついていたとすると、大変な機会損失に繋がっているかもしれません。ある意味、知らないということはとても怖いことです。いずれにしろ、相続対策にふさわしい保険が終身型であることは間違いありませんので、相続対策で今現在保険に加入していて、どのタイプか分からない方、または長期定期保険でも構わないと思っていらっしゃる方は、見直しが是非望まれます。もし100歳までの保障のある長期定期保険に加入していて、同じような効果が得られるとしても(確率論的にはおそらく大丈夫であっても)、101歳まで生き残ったとしたら、その保険は全く効果を発揮できません。人の一生は誰にも分からないわけですから、あえて、そのような選択をする必然性もないのではないかと思います。

定期保険の選択の理由が保険料の安さにあるとすれば、実際に変額終身保険との比較をしてみるとよいでしょう。予定利率の差がここでも相当あることに気がつかれるはずです。因みに、50歳男性の保険種類による保険料総額は、保険金額1億円の場合ある保険会社試算で、①65歳払込変額終身保険6760万円 ②65歳払込定額終身保険8200万円 ③終身払込変額終身保険(85歳時累計保険料)9400万円 ④99歳定期保険(85歳時累計保険料、標準体料率)11600万円 となります。

保険種類でこれほど総額の保険料が違ってくるということは、驚きに価します。この他、変額保険を終身ではなく99歳の定期にする方法や、定期保険の場合、非喫煙健康体といった割引のきくものもあります。しかし、予定利率の差は、ことのほか大きい影響を及ぼすようです。

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