生命保険で生前相続をする方法

法人の代わりに社長が個人で契約した場合、保険金が相続人に直接入り、それをみなし相続財産として、相続税納税原資としてキャッシュの相続ができるというメリットを得ることができます。しかし、そのためには、個人で相当の所得税を払った後のお金を保険料とするわけで、もう少し、知恵の出しどころはないかと、考えたくなります。そこでご提案したいのが、生前相続プランです。

当然相続というのは、社長が亡くなったあと、社長の遺産を計算して、相続人で分割協議をして、納税が発生するようであればそこから税金を払うというものです。通常はその事態を想定して(あらかじめ納税額を計算して)、納税原資を保険で確保しておこうということになります。

多くの方が、ある年齢になると、自分の死んだ後、財産をどのように分けるか、誰にいくら引継ぐかということを考えます。当然、相続税を押さえるべく、非課税枠を活用したり、生前に財産移転する方法、財産評価の減少を狙う、などの方法を検討されるかと思います。その中の生前に財産を移転する方法を更に発展させて、生前に相続問題を一気に片付けてしまおうというのが、「生前相続」の考え方です。

 その際、最も大事なことは、ご自身の財産のなかで、自社株式や会社へ貸し付けている不動産などのように分割したくないものと、そうでないものに分けて、例えば自社の株式であれば、誰に相続させて経営を任せるのか、残りの流動的な財産を不公平感なく相続人の中で分けることが望ましいかどうか、といったような総合的なグランドデザインが必要です。

 ややオーバーな表現ですが、被相続人の意思が明確に発揮できる場としての、構想が不可欠です。社長が死んでから、残った財産を分けるという、場当たり的な相続のシーンを想定すると、それはもう歴然と違うということがご理解いただけるかと思います。第一遺言書もなにもなくて、相続をするということになると、そこには父親である社長の意思はまったく発揮できないわけで、残された相続人間の力関係や思惑で物事が決まる世界になります。そうなると、相続人としての権利を主張する余りに、会社の経営そのものが成り立たなく恐れも出てくるということも考えられ、大変恐い事態に陥ることもありえます。

兄弟3人で相続するような場合で、すでに長男が経営に参画し、二男三男は他の仕事に従事していると想定してみましょう。相続財産のうちの多くが、自社株と不動産ですと、兄弟は全く相続人として同じ権利を保有していますので、株式や不動産についても全く同じように「分け前よこせ」と言えるのです。その際、調整弁となるべき現預金のような流動資産が少なければ、相続問題は一気に泥沼化する恐れが出てきて、最悪会社の清算や不動産の処分といったこともありうるのです。そんな事態を避ける為にも、父親である社長が存命でまた判断力・影響力のあるうちに、さまざまな手を打つべきだと思うのが当然かと思われます。

少なくとも、父親の生前に手を打つことで、相続の本質的な問題をクリアにできるということに加えて、税金対策上や資金上、大変有利になりますので、ぜひこの生命保険を活用した「生前存続プラン」の導入を検討して頂きたいものです。

生命保険と相続はまず、切っても切れない関係であるということはお分かりかと思います。「相続は、死亡をもって開始する」とは、民法(882条)の有名な規定ですが(五七五調がすばらしい)、死亡時に効果を発揮するのが生命保険である以上、当然そういう深い中になってしまうのです。そして、そこに保険金という資金が降って湧いてきますので、これこそまさに資金のメリットということになります。 

生前に保険で計画を立てるということのメリットはいろいろありますが、まずは、民法の規定を理解しておく必要があります。相続が発生した際の相続人の権利を民法は法定相続分として一定の率で定めていますが、遺言書があればそれは法定の率に優先します。(最下限の歯止めとして遺留分権利者の遺留分について民法1028条で規定)保険に関しても、その受取った保険金は「受取人の固有の権利」として、他の者が侵害することはできません。このことを利用すると、生前に遺言書と保険を使って、相続人ごとにきちんと相続させたい金額を確定できます。こういう方法を取ると、まず遺産分割時に揉め事がなくなります。保険を使うメリットは、保険金というまとまった現金が確保できて、それを利用できるということのみならず、相続のシナリオを相続発生前に作っておくことが出来るということです。

単に相続税の納税原資の話だけに留まりません。もちろんおカネの問題を解決できるという、最大の効果が保険の役割であることは間違いありませんが、その他の効果として、保険金という性格上、受取人を指名しておくことができるので、おカネに色が付けられるということです。現金や預金には色がついていませんので、相続人全体の相続財産ですが、保険は違います。相続税の計算の時には、全体の計算の中に入ってきますが、所有権はあくまで保険受取人の固有の権利です。

 具体的なプランとしては、終身保険を活用することになりますが、ただ単純に保険に入るというだけでは面白くありませんので、次章の生前贈与と絡めた保険プランをお勧めします。

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