保険会社の安全性

この保険会社って大丈夫ですか?

保険のコンサルティングをしていて、候補の商品が決まる前後に、お客さまからよく聞かれる質問があります。
「この商品が他と比べて割安であることと、その保障内容は理解できました。ところで、この保険会社って大丈夫ですか?」

日本生命や第一生命といった大手の保険会社の商品を検討されている場合は別にして、国内中堅クラスの生命保険会社の商品や、外資系保険会社の商品を候補とされている場合によく尋ねられます。高額な保険料を払うことになる以上、その会社の財務の健全性や、事業撤退しないかどうか、などは気になって当然のことといえるでしょう。

日本国内には2012 年6 月1 日現在、43社の生命保険会社が存在します。この中には、従来から存在する日本企業や第一生命のような大手企業から、グローバルでも市場シェアを持っている外資系企業や、規制緩和に伴いここ10年以内に新規参入した企業など、さまざまな企業があります。当然ですが、何十年もの歴史がある大手企業と新規参入の企業とでは、財務的な体力はまったく異なります。

とはいえ、一般消費者が生命保険商品を契約する前に、保険会社の財務的な余力が気になるからといって保険会社各社の貸借対照表や損益計算書を分析するのは非常に難しい作業ですし、比較に掛かる時間を考えても非現実的といえます。
そこで、一般的に生命保険会社の経営状態を判断する指標をふたつご紹介します。

ひとつめは「ソルベンシーマージン比率」です。
専門用語ですが、言葉の意味は次のようなものです。

ソルベンシー(Solvency)=負債等に対する支払い能力
マージン(Margin)=(時間・経費等の)余裕・余地

ソルベンシーマージン比率は、保険業界では広く知られている保険会社の財務健全性を示す指標です。簡単に言うと、「通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる支払余力をどれだけ有しているか」を判断するための行政監督上の指標のひとつです。
たとえば先の東日本大震災などの災害や、リーマンショックのときのような株の暴落などといった通常の予測を超えて発生するリスクに対応できるだけの余裕、つまり「支払余力」があるかどうかを判断するための指標です。

ソルベンシーマージン比率は、数字が大きいほど支払余力も大きいと判断されます。この数値が200% を下回った場合、監督官庁である金融庁から監督上の措置(早期是正措置)がとられることとなっています。そのため、行政上の取り扱いとしては200% を超えていれば安全な会社とみなす、とされています。

しかし、過去に経営破綻した保険会社の多くは、破綻直前のソルベンシー・マージン比率が200% を超えていました。また2012 年6 月1 日現在で、この指標が最も低い会社でも600% 強の数値となっており、200% を少々超えている程度では契約者からの信
用が得られない状況となっています。大手の保険会社では1000% を超えているところもありますし、中には3000% を超えている会社もあります。この数値は高ければ高いほど、支払余力が大きい会社と考えればよいかと思います。

ふたつめは「格付け」です。国内で営業している生命保険会社を、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)やMOODY’S JAPAN(ムーディーズ・ジャパン)などの民間格付機関が格付けしている情報のことです。ご存知のとおり、経営状態を同業他社と較べてAAやA-、Bなどのスコアで表現したものです。

これらふたつの指標は、多くの保険会社では「ディスクロージャー資料」としてインターネットで公開しています(格付けについては取得していない会社もあります)。が、複数の会社の数値比較という意味では個別に比較しなくてはならないため、少々見にくいです。そこで、複数の生命保険会社を取り扱っている保険代理店の中には、これらの指標をまとめたサイトを運営しているところが存在します。中でも保険マンモス社のホームページが非常に見やすく、オススメです。

「保険マンモス社ホームページ」

次に、最悪のケースとして「ご自身の加入されている生命保険会社が破たんしたらどうなるか」をご説明したいと思います。日本には、生命保険会社の破綻から保険契約者の保護を図る目的で、「生命保険契約者保護機構」という法人があり、国内で事業を行う全ての生命保険会社が会員として加入しています。万一、生命保険会社が経営破たんすると、この保護機構が資金援助等を行ないます。 

「生命保険契約者保護機構ホームページ」

具体的には、保険契約の継続に向けた手続(行政手続か会社更生手続かのいずれか)が取られるのですが、いずれの場合も保険契約は継続され、保護機構によって、破綻時点の保険契約(再保険を除く)の責任準備金等の90% までが補償されます。

責任準備金とは、生命保険会社が将来の保険金・年金・給付金の支払いに備え、保険料や運用収益などを財源として積み立てている準備金のことで、保険業法によって、生命保険会社に積み立てが義務付けられているお金です。

気をつけたいのが、たとえば「1000 万円の死亡保険金が出る契約」に加入していたとして、「900 万円の死亡保険金を受け取る権利は保障される」または「積み立て部分の9 割は補償される」ということになるわけではないということです。破たんした保険会社の契約は、その契約を承継した会社が利率などを決めることができますから、消費者にとって不利な条件に変更される可能性があるのです。

このように、保険会社の安全性はとても大切なことです。何十年先もの生命保険会社の存続状況などを見通せる人はいませんが、加入してすぐに破たんされてしまった、というようなことを防ぐために、加入する前に一度はその会社の健全性はどうか? という観点で確認されてはいかがでしょうか。

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