放置していたら、保険の価値が1/3に

次は「恥ずかしながら」ですが、実はわたし自身に掛かっている保険の話です。生命保険を放置していたら、その価値が想定の3 分の1 になっていた。そんなお話しです。

わたしの父は、40歳を過ぎてから某生命保険会社に転職しました。約20年前のことです。そのときは銀行や住宅ローンなどの金利が6 〜7%台と、今とは比較にならないほど高い時代でした。このような時代に、万が一のために、また将来のためにということで、わたしを被保険者とした生命保険を掛けてくれたわけです。

余談ですが、このような金利が高い時代の生命保険は、支払う保険料が割安になります。なぜかというと、生命保険会社が「お客様から預かったお金を高い利回りで運用できる」ことを前提に商品を開発、販売するからで、同じ保障内容の商品であっても、利回りが高い時代の商品であればあるほど、割安な保険料となるのです。

保険料が決まる大切な要素のひとつに「予定利率」というものがあります。保険会社は契約者から回収した保険料を運用することで収益を上げます。銀行と同じですね。単純にいえば、予定利率が高いほど契約者にとっては有利です。

ちなみに、生命保険会社側の実際の運用利回りと、お客様に保障した利回りが大きく乖離している状態を「逆ザヤ」といいます。これが引き金で90年代後半以降、中堅の生命保険会社の数社が経営破たんして、マーケットからの退場を余儀なくされました。

『返戻率の推移』とは、契約時の運用利回りが続くとした場合の「想定値」に過ぎない

さて、話を戻します。こういった金利の高い時代に契約した生命保険商品は、2012 年の現在では考えられないほど割安で利回りが高いのです。このことから、生命保険関係者は概して1996 年より以前に加入した終身保険を「お宝保険」と呼んだりします。その頃の終身保険の予定利率は4・5%以上。2012 年現在では、だいたい1・5%前後(商品により異なります)ですから、利回りはおよそ3 倍という有利さです。 わたしは大人になってから、父から「実はわたしに保険を掛けていた」ということを初めて知らされました。わたしは金融関係の職業に就いていましたから「お宝保険」の知識もあって、そのような「いい時代」に契約した生命保険なのだから、当然高い利回りが保証されているものと思いこんでいました。当時の生命保険会社からの資料にも、『返戻率の推移』という表がありましたし、そこには非常に高い数値が並んでいたのです。

ところが、これが落とし穴。この資料に書かれていた『返戻率の推移』というのは、その当時の運用利回りが続くとした場合の「想定値」に過ぎなかったのです。 実は、わたしに掛けられていた保険は『変額終身保険』という種類で、契約者が自ら運用先を決められる商品だったのです。ちなみに、わたしの保険の解約返戻金(貯蓄の部分のことです)の運用先は「日本株式100%」となっていました。つまり、父が毎年生命保険会社に支払った保険料は、まず生命保険会社の諸経費・利益などが差し引かれ、その残りが日本株式100%の比率で運用されていたわけです。

もう少し詳しく説明しておきましょう。わたしに掛けられていたのは「保険金額500 万円の変額終身保険」で、1996 年に加入した契約でした。当時の予定利率は、なんと6%。今の国内の定期預金の利回りは、高くて0・5%くらいですから、どれほど高いことか! 正直、この保険に入っていると父から聞かされたときは内心ウハウハでした。

現在、この保険に契約して16年経っていて、すでに累計で90万円くらいの保険料を払っています。当時の保険会社の資料からすると、少なくともその8 割くらい、今解約すると70万円くらいの現金が引き出せるはず。最低限そのくらいの価値はあると思ってたのです。

ところが………。日本株式100%の運用で放置していたために、実際はその3 分の1、時価にして25万円ほどになってしまっておりました。

この保険契約だと、もう解約返戻金で「ウハウハ」を期待することはできません。でも終身の死亡保険金と割り切れば、最終的にわたしは生涯で約230 万円ほどを保険会社に払って、遺族に500 万円の死亡保険金を残すことができます。この低金利時代に高いパフォーマンスでの運用はもはや不可能といっていいでしょうから、わたしは潔く諦めて230 万円を保険会社に払い、この保険を墓場までもっていこうと覚悟をきめています。

これは「変額」で、さらに「自分で運用先を決めることができる保険」という少々特殊な例かもしれません。でも、わたし自身が教訓として学んだのは、「知らない」のがいかに怖いか。そして、知らないまま放置するといかに損をするのかということです。

もちろん、あなたにとっても他人事ではありません。たとえば自分の保険が「お宝保険」だと知らずに解約して、今の予定利率の商品に乗り換えてしまったら、あきらかに損をする可能性が高くなるのです。

あなたは、ご自身の入っている保険の時価が今いくらなのか、正確に把握していますか?

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