会社のリスク回避装置としての生命保険

投資と回収の視点で評価することが大切

保険と聞くと、どうしても保障機能のイメージが強いためピンとこないかもしれませんが、保険も銀行預金や投資有価証券などと同じ金融商品としての側面があるという視点を持っていただきたいと思います。

金融商品としての側面がある以上、保険も投資したお金に対して、回収できるリターンはどの程度か、投資と回収の視点で評価することが大切です。

金融商品としての保険資産ならではのメリットは、何といっても保障機能がついていることでしょう。もしものときには、払い込んだ保険料の何倍、何十倍ものお金を受け取ることができます。そういう意味では、保険でお金を回収する方法は、保険金で受け取るケースと、任意に解約して解約返戻金を取り出すケースの2通りが考えられます。

また、保険にはさまざまな税制上の恩典があり、うまく使えば税負担を軽くすることができます。回収の効果を測るときには、税務メリットも含めたうえで考えなければなりません。さらに前述したように保険資産には含み益や含み損があり、いざというときには利益を調整する機能もあるのです。

一方で保険資産のデメリットは、保険料が保険会社の中で積み立てられるときに、保障のコストが引かれるため、支払った保険料が全額積み立てられるわけではないことです。契約からの年数や保険商品によっては、支払った保険料が100%戻ってこないこともあります。解約返戻金がどのような割合で積み上がっていくかは、保険商品によって違いますし、同じ保険でも保険料の払込期間、契約時の年齢等の契約内容によっても変わります。ほとんどの場合、契約から何年経てば解約返戻金がどの程度まで増えるかは、契約時にすべて正確にわかるので、保険に加入するときには、解約返戻金も含めて比較検討することが必要です。

もちろん、うまく商品を選べば契約から一定期間で解約返戻金が払込保険料の100%を超えることも可能です。そればかりか、被保険者の年齢・性別などの条件によっては150%近くまで増える商品もあります。

ただ、100%を超えるまでの一定期間に関しては、資金を寝かすことになります。その間、銀行預金であれば利息で増えるので機会損失と言えなくもありません。しかし、実際今のような超低金利が続いている状況では、銀行預金はお金をただ寝かせておくようなものなので、そこはあまり気にならないのが本音ではないでしょうか。

預金で持つ資産、保険で持つ資産、設備投資する資産などを適切に配分

会計的には、資産を銀行資産として持つか、保険資産として持つかはあまり問題ではありません。なぜなら、銀行預金から保険料として毎年100万円を支払うという行為を会計的な側面から見てみると、バランスシート上の銀行預金という流動資産が、保険料積立金という固定資産に移っただけで、会社の財産そのものにはなんの変化も生じないからです。つまり、銀行にある資産を単純に保険会社に預け替えするだけで、なんら会社の収支に影響が出るわけではありません。結局のところ、それぞれの特徴を正しく理解し、預金で持つ資産、保険で持つ資産、設備投資する資産などを適切に配分し、資産を最適化してこそ賢い経営者と言えます。

会社を経営していると、さまざまなリスクに直面することがあるでしょう。為替変動によって原材料が高騰するリスク、製品の事故があって賠償金の支払いが生じるリスク、社屋が火事になって焼失してしまうリスクなどもあれば、最近なら個人情報の漏えいによる賠償金の支払いリスクも考えられます。未曾有の被害をもたらした東日本大震災のように、思いもかけない形で大変な事態に見舞われることもあります。

こうしたリスクの中には損害保険で備えられるものが多いのですが、生命保険同様、すべてのリスクに対して保険で備えるのは経済合理性に合いません。しかも、新社屋を建てたときには火災保険に入るように、比較的顕在化しているリスクに対しては備えやすいのですが、見えないリスクに関しては何の手だても取れないことが多いのです。経営上大きなリスクに直面し資金繰りに困った時に、銀行の融資がすんなり受けられるとは思いません。

不幸にも損害保険を掛けていないリスクが突然会社を襲ったらどうしますか?

そこで、ぜひ知っておいていただきたいのが、社長の生命保険はどんなリスクに対しても使えるということです。生命保険を使って解約返戻金をストックしておけば、いざという時には契約者貸付という手段で保険会社から貸付を受けられますし、解約して解約返戻金を取り出すこともできます。とくに解約の場合には、解約返戻金という資金だけでなく、解約益という利益をもたらしてくれることもあり、会計上のダメージもリカバーしてくれます。保険という「外からお金を還流させてくれる装置」を持っているだけで、会社の経営は飛躍的に安定するのです。

金融ビッグバン以降、メインバンクが資金を提供してくれるスキームが断たれました。いざというとき、国が何とかしてくれるだろうという過度の期待をもつのも禁物です。これからの世の中、想定内のリスクはもとより、想定外のリスクに備えて、自分で解決手段を持つという姿勢こそが必要です。そしてその効果的な手段のひとつが法人保険なのです。

では、具体的にどんな法人保険があるのか? 次回からは、テーマ別に今すぐ使える法人向け生命保険の事例をご説明したいと思います。

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