オーナー社長が保険に加入する目的は4つ

個人保険を見直すよりも法人保険の見直し

今回は、オーナー社長の視点から生命保険を考えてみたいと思います。中小零細企業のオーナー経営者は、株式を個人や家族で保有していることが多く、退職金も株式譲渡も個人資産の移動と変わらない実体があります。そこで、生命保険本来の保障に加えて、オーナー経営者の退職金や事業承継に伴う戦略的な費用対策を目的として生命保険を見直してみてはいかがでしょうか。

実は、「生命保険を見直す」ときに、個人保険を見直すよりも法人保険の見直しのほうが、圧倒的に大きい効果を生むのです。なぜなら、法人保険は商品そのものの価値(保険金、解約返戻金等)が個人保険より1ケタ以上、場合によっては2ケタ違うという規模の大きさもありますが、契約の仕方によって掛かってくる税金の違いなど、専門技術の介入度合いが個人契約とは比べ物にならないほどたくさんあるからです。ひと言で言うと、法人保険はめんどくさく、難易度が高いのです。そのため、お客様自身もよくわからないまま加入しているというケースもまた、個人保険以上に非常に多いのです。

実際に私の経験値として言うと、現在契約している保険の組み直しも視野に入れてご検討されると、個人保険と比べてはるかに効果の高い、驚きの別スキームが組めることが多いといえます。ここからはとくに中小企業のオーナー経営者向けに、法人向けの生命保険についての全体論を解説していきます。

保険加入の目的をまず考える

そもそもオーナー経営者が生命保険加入を考えるなら、まず自分の会社にはどんな課題があるのか、つまり保険加入の目的をまず考える必要があります。法人が保険に加入する目的には、大きく次の4つが考えられます。それぞれ説明しておきましょう。

① 事業保障
② 相続・事業承継
③ 勇退資金準備
④ 緊急予備資金

① 事業保障
いわゆる、キーマン保障とよばれるものです。オーナー系企業では、社長にもしものことがあった場合のダメージは計りしれません。
● 社長の死亡退職金
● 会社の借入金の返済、買掛金支払い等
● 社長交代による売り上げ減少や利益の減少による資金不足の補てん
● 自社株を購入する資金

挙げればきりがないくらい、資金が必要になることを覚悟しなければいけない局面があります。こうしたリスクに備えて、生命保険に加入するというわけです。

② 相続・事業承継
オーナー系企業の相続や事業承継は、よほど慎重にしておかなければトラブルに発展するケースがあります。相続税納税用の現金が十分に用意できない場合は、分割で納める延納や個人的な借り入れでしのがねばなりません。

相続税の納税を困難にしている原因として大きいのが、自社株の相続問題です。オーナー系企業は会社の経営を安定させるため、社長に自社株が集中する傾向があります。
自社株は、会社の経営権を左右する存在でありながら、社長個人の資産です。個人資産である以上、社長にもしものことがあった時には自社株も相続財産として評価を受けることになり、他の個人資産と合算して相続税が計算されます。

自社株が高く評価されれば、当然のことですがその分、相続税の負担も重くなります。資本金は1000万円であっても、順調に社業を伸ばしてきた場合、バランスシート上の純資産が大きく膨らんで、1株あたりの評価が何十倍、何百倍になるケースがあるのです。

しかも会社の後継者は、株主総会で取締役を解任されないようにするために、最低でも2分の1の株数を相続する必要があります。そのためにもまとまった納税資金が必要になるでしょう。

兄弟間で財産分与がうまくいかず、もめる話もよくあることです。故人の財産のほとんどが不動産や自社株など現金以外の資産だった場合は、兄弟間で均等に分けることができません。このようなときには、後継者が自社株を相続し他の兄弟に現金を渡すことで相続財産を調整する代償分割をするのが一般的です。納税資金ばかりでなく、他の相続人への代償分割のためにも、オーナー社長の相続にはまとまった現金が必要です。そこで生命保険を活用します。

③ 勇退資金準備
どんなに優秀な経営者も、いずれは勇退する時期がきます。ご自身の勇退については、あまり積極的に考えられないという経営者の方も多いのですが、生命保険を活用すれば税制上のメリットを享受しつつ(法人税負担を抑えつつ)、現役時代の保障もしっかりと取りながら、計画的に準備することができます。

④ 緊急予備資金
会社経営には、さまざまなリスクがつきものです。思いがけないトラブルに巻き込まれ一時的にまとまった資金が必要になった時に役に立つのが、生命保険の解約返戻金です。解約返戻金があれば、いざという時に保険を解約して返戻金を受け取れますし、契約者貸付という方法で、解約返戻金額の80%〜90%程度を保険会社から借り入れることができます。利息は取られますが、審査もなくすぐに手元に現金を用意することができます。
 

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