「費用対効果」で考える

生命保険はリスク回避手段でもあるが、人生における資産のひとつ

ここまで、4つのタイプの生命保険をご紹介してきました。世の中に存在する生命保険は、そのほとんど全てがこの4つのどれかに当てはまります。

例外としては、「生死混合保険」といわれる養老保険のような死亡保障と生存保障がミックスされた商品も存在しますが、少数派です。

生命保険はもちろんリスク回避手段ですが、人生における資産のひとつとしてとらえるべきもので、収入、保有資産、家族構成や将来設計に合わせて、一人ひとり個別に設計するべきです。お子さんがいない共働きの家庭と、お子さんが3人いて夫のみが働いている家庭とでは、夫に万が一のことがあったときの遺族の困難状況が違うわけですから、当然保障などに対する潜在ニーズも変わってきます。つまり、保険商品から入るのではなく、個々のファイナンシャルプランから入って考えるのが正しいといえます。

保険料は万一のときの保障を得るためのコストとみなされることが多く、費用は掛け捨てるものと考えられがちですが、保険の種類によっては、途中で解約したときに大きな解約返戻金が出るタイプもあります。保険料を払っている時点での支出は、当然ながら前者が少なく、後者は大きくなります。どちらを選択するかは、その人が現在使えるお金が多い方を優先するか、将来のゆとりを見込むことを大切にするかによります。楽観的な生き方をよしとする人生観か、「先憂後楽」の人生観かによるともいえます。

生命保険は住宅の次に高い買い物と言われる高額商品ですが、実感としてそのようなことを意識している人は少ないと思います。というのも、生命保険料は総額をまとめて支払うことは少なく、月払いや年払いなど分割で支払うことが圧倒的に多いからです。1世帯当たりの平均的な保険料支出の月額は、約3・8万円といわれています(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」平成22年度より)。もし、これを30年間継続すれば、実に1368万円の買い物となります。ワンルームの中古マンションくらいなら購入できそうな金額です。

大きな支出にもかかわらず保障内容も正確に知らなければ、価格の妥当性もわからない

生命保険が、実はこのようにとんでもなく高額な買い物であることを実感していない人が多いのではないでしょうか。その額からも、生命保険は資産のひとつとしてよく考えて購入すべきものだと理解しておくことが大切です。

さらに、こういった大きな支出をしているのに、その保障内容も正確に知らなければ、価格の妥当性もわからない。また、掛け捨てタイプか積立タイプかどうかもわからない、という認識だとすると、そんな生命保険に加入していること自体が家計に対して大きなリスクです。

ただ、実際には月々平均約4万円もの支出をしていながら、保険加入のきっかけは知り合いの生保外務員さんからの熱心な勧誘、という人が多いのも事実です。せいぜい「どの保険にしようか」、「いくらの保障額、保険料にしようか」を迷うくらいで、他の保険会社の商品と比較しようなどと考えもしなかった、という人もいるでしょう。もちろん加入のきっかけが勧誘であっても、納得かつ合理的な生命保険選択ができていて問題ないケースもありますが、そうではないケースもまた非常に多いのが現実です。

ただし、繰り返しになりますが、こうした保険購入のパターンには変化が出始めています。従来のように人間関係だけで決めるのではなく、保険商品の価値そのものが重要視され始めています。つまり、同じ内容であれば保険料が安く、同じ保険料であればより保障内容の充実した商品を選択する消費者が増加している傾向にあります。

ひと言でいえば、「情理の世界」から、よりコストパフォーマンスに重きを置く「数理の世界」へのシフトチェンジが起こっているのです。考えてみれば、これは一般の消費の世界ではごく当たり前のことです。物を買うのに値段も見ないであなたを信用するから購入する、ということは滅多にないでしょう。生命保険という高額な金融商品を購入するとなれば当然、「投資と回収」という、大きなモノサシがあって初めて判断ができるわけです。

これまで多くの人が、その理屈すら知らないまま(教えてもらわないまま)無防備に契約書に印鑑を押していたかもしれません。でも、ここにきて世界的な経済不況の影響もあって、株式や為替の変動リスクにさらされてしまうと、保険に対するこうした考え方がさらに加速するものと予測されます。

生命保険には、保障と貯蓄という2つの機能が組み合わさっています。単に死んだ時だけに回収できるプラン(掛け捨ての死亡保険など)、生きていれば所定の資金化ができるプラン(解約返戻金や満期金)があります。これらをどのように組み合わせて資産形成するか、というロジックこそがこれからの金融商品活用の重要なテーマです。人生における金融商品のハンドリングの巧拙が、ご自身が高齢者になったときにきわめて大きな影響が出るでしょう。生命保険もその一部であると認識して、合理的に活用するということは、これからの時代において必ずや誰にとっても役立つ知恵であるはずです。

 

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