個人保険の選び方 その3 生存保障編

「大半の方は長生きする」

企業の業績悪化、給与削減……。不況の中、老後の公的年金に不安を感じ個人年金保険の加入を検討している方からのご相談を受ける機会が増えています。生存に対する保障ニーズが、死亡保障や医療保障のそれと根本的に異なる点は、今の世の中、「大半の方は長生きする」ということです。長生きに対するリスク対策の必要性は、いまの現役世代に共通する大きなテーマです。

また年金に対するニーズは、生命保険会社側から見ると、高齢化に伴う現役世代の減少などにより死亡保障に対するニーズが頭打ちの状況のなか、数少ない成長分野のひとつといえるでしょう。ここ数年間で、複数の年金専業の保険会社が新たに市場に参入しています。

さて、個人年金保険とは何かというと、自分やご家族が将来一定の給付を受け取るために積み立てる金融商品です。60歳や65歳などあらかじめ定めた年齢から年金を受け取れます。大別して、以下の2つの分類からの組み合わせになります。

① 年金の受け取り方
被保険者(保険の対象となる方)が生存している場合に年金を毎年受け取れるタイプ。生死に関わらず一定期間の年金受取りを保証されるタイプ。両者を組み合わせたタイプなどがあります。払い方・受け取り方を外貨立てにできるタイプなどもあります。

② 受け取る年金の運用の仕方
申し込みした時点で将来受け取る年金額が確定する「定額」タイプと、運用成績次第で将来受け取る金額が変動する「変額」タイプがあります。一般的に「定額」タイプは、たとえば月額2 万円(年額24万円)を20年にわたって積み立てて、月額4万5000円(年額54万円)の年金を10年間にわたって貰うようなタイプです。この例だと、20年間で480万円を積み立てて、その後10年間にわたって累計540万円の年金を貰う、ということになります。

「変額」タイプは、一括でまとまった額を保険会社に支払って、その後規定の期間にわたって年金を貰い続けるというようなタイプです。たとえば1000万円を支払って、保険会社の取り分5%(50万円)を差し引いた950万円を保険会社が運用し、その運用結果次第で毎年数%の年金が支払われるというようなものです。「変額」タイプは一時払い額が高額であることから、退職金などのまとまったお金が入った際に、それを元手にして入るケースが多いといえます。

実質的には将来の年金の備えに向けた貯蓄商品

個人年金保険は、「保険」という名前は付いていますが、実質的には将来の年金の備えに向けた貯蓄商品といえます。保障はゼロではありませんが、大半の個人年金保険の保障は亡くなった場合には払った額が戻ってくるというだけです。したがって、純粋に支払った保険料に対する利回りがいいかどうかで有利不利の判断が可能です。

たとえば上記の「定額」タイプの個人年金保険ですと、480万円払って540万円が貰えるわけですから、利率は12・51%です。ここだけ見ると有利なように思えますが、単年利回りは約1・11%です。一般的な金融機関の積立定期預金の利率は0・1%以下、最近公募(2012年4月発行) された10年満期国債の表面利率が0・66%ですからそれらに比べると高くは感じますが、この「1・11%」という数字をどう考えるかがポイントです。

といいますのも、個人年金保険の支払期間が20年という長期間になることを考えると、1・11%というのは決して高い利回りとは言えないからです。老後資金作りの手段はいろいろ考えられます。決して個人年金保険だけではありません。むしろ20年間も同じ商品に大切なお金を預け続けるということは、その用途を固定化することに他ならないのです。

また個人年金保険は積み立ててから、年金給付受け取りが完了するまでの期間が超長期におよぶために、その間、保険会社等がきちんと存続していることが大切な要件になってきます。

「定額」タイプの個人年金保険の弱点はインフレに弱いということもあります。1970年と2010 年の物価水準を比較すると、その差は3倍以上になっています。物価が上がると将来的なお金の価値は相対的に下がりますから、貰える年金額が確定している「定額」タイプは、その変化に対応できないのです。

逆に、「変額」タイプの個人年金保険は、受け取る年金額は基本的に市場金利にあわせて上下動しますので、インフレに対しては比較的対応できやすい商品といえます。その分、保険金は未確定ですのでメリットとデメリットがそれぞれ逆のイメージとなります。

 

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では、わたしたちが将来お世話になるであろう国民年金はどうでしょうか。国民年金には「物価スライド方式である(インフレで物価が上がると給付額も上がる)」という特徴があります。つまり、物価が上がって直ちに困る仕組みではありません。

問題は先に触れたように、年金の財源が「賦課方式」であることです。賦課方式とは、その時点の現役世代がその時点の高齢者の年金を負担する方式です。長所としてはインフレによる悪影響を受けないことですが、短所としては人口の高齢化が進むと現役世代の負担が重くなりすぎることです。

【資料06】は平成23年に国土交通省がわが国の今後の長期人口構造変化をまとめた資料からの抜粋です。これによると、2050年までに日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)は2005年の8442万人から4930万人まで約3500万人も減少します。その一
方で高齢者(65歳以上)は、2576万人が3764万人と約1200万人も増加するのです。

2005年に高齢者1 人あたりを現役3 人で支えていたのが、2050年には高齢者1 人を現役1・3 人で支えなければいけない世の中になるというのです。

 

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わたしは社会学者でも経済学者でもありませんが、このデータを見る限り、今予測されているままに少子高齢化が進めば、現役世帯の年金負担が増えることはもとより、将来的には国民年金額の給付水準は大幅に下がる可能性が高いことが容易に予測できます。

「将来、自分の公的年金は足りなくなるかもしれない」という認識を前提に、時間を掛けて「自分年金」を作ることは、これからのご時勢でとても大切なことだと思います。ですが、物価の上昇に対応する財産づくりには、個人年金保険だけではなく、株式や投資信託などの金融商品を使ってもいいわけです。

セカンドライフへの長期戦略を立てて、ご自身にあった分散投資をして、リスクを低減しながら収益の確保を目指すことを検討すべきでしょう。

 

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