個人保険の選び方 その2 医療保障編

医療保険についての考え方

がん保険と医療保険の基本的な考え方については前章までにもすでに触れました。「得か損か」という考え方でいくならば、大半の人は「医療保険には入らないほうが得」といえます。それはなぜか? 改めて、具体例をお話ししておきましょう。

【条件など】
30歳男性
終身医療保険
一入院限度日数:60日
入院給付金:1万円
手術給付金:手術内容・部位などにより10万円、20万円、40万円

【X 社】
月額保険料 2910円
掛け捨てタイプ
払込期間:終身

保障内容は、医療保険のなかでもごく一般的なタイプといえるものです。月額約3000円の保険料で、ケガ・病気などで入院すると1万円の入院給付金が出るという商品です。

一見して安いと思われるかもしれません。事実X 社のこの商品、保障内容に対する価格は国内の保険会社のなかで屈指の安さです。しかし、月3000円払うということは、年間3万6000円を払うことになるわけです。30年間この契約に入り続けたら、累計で108万円を払うことになります。

ここでよく考えるべきポイントは、この方ひとり分の医療費が108万円も必要かどうかということです。もし30年間で108日以上入院するなら保険に入る価値はありますが、60歳までまったく入院しない場合ももちろんありえます。入院しなければ丸損ということになります。

108日も入院することはないと考えるなら、毎月3000円を自分で積み立てておくという手があります。専門用語では自家保険といいますが、要はタンス預金しておけばいいのです。30年で貯まった108万円を家族の医療費として使えばいいわけです。当然ですが、別に医療費として使わなくてもいいのですから柔軟性はこちらのほうが圧倒的にあります。

「不安だからそれでも加入したい」というニーズが大きいのも医療保険の特徴

といいながら、人間の心理として不安だからそれでも加入したい、というニーズが大きいのも医療保険の特徴です。
「それでも保険に入りたい」人向けのポイントですが、これはふたつあります。

 
① 保険料の払込期間を終身にするか、有期にするか

「払込期間が終身」というのは、契約が有効である限りずっと保険料を払い込むタイプの保険ということです。一方「払込期間が有期」というのは前払いしてしまうということです。つまり、生涯有効な保障を60歳までに払い切ってしまう、というようなタイプの保険です。

有期型で前述の例と同じような保障内容の商品を買うとするとこうなります。

【条件など】
30歳男性
終身医療保険
一入院限度日数:60日
入院給付金:1万円
手術給付金:手術内容・部位などにより10万円、20万円、40万円

【Y 社】
月額保険料 3910円
掛け捨てタイプ
払込期間:65歳まで

さきほどのX 社の例では「終身」だった払込期間が、こちらは「65歳まで」の有期となっています。月額費用は、ちょうど1000円高くなります。

この2種類、どちらがいいというのは一概に言えません。好みの問題で、単純に安いほうがいいと考えるのであれば終身払いのタイプを、老後の安心を若いうちに買ったほうがいいと考えるなら有期払いのタイプを買うのがオススメです。

一点考慮する必要があるのは、「医療保険は時代とともに進化する」ということです。たとえば10年以上前の医療保険ですと、入院給付金は5日目から出るというような保障内容のものが一般的でした。今は日帰り入院から給付金が出るものがあります。手術給付金の支給などについても、今後医療の進化に合わせて出る金額などが変わる可能性があります。これらを勘案してどちらが好みか選ぶということです。

 
② 解約返戻金の有無を選択する
一般的に医療保険やがん保険は掛け捨てですが、中には解約返戻金という積み立て部分がある商品も存在します。例を挙げておきましょう。

【条件など】
30歳男性
終身医療保険
一入院限度日数:60日
入院給付金:1万円
手術給付金:手術内容・部位などにより10万円、20万円、40万円

【V 社】
月額保険料:9100円
積み立てタイプ
払込期間:60歳まで
60歳時点の解約返戻金:244万7740円

X 社の月額保険料2910円と比べると、月額保険料は3倍ですが、60歳時点では250万円近い積み立て部分があります。これだけあれば、60歳のときに解約してしまって、解約返戻金の約250万円を夫婦の生涯医療費や年金の原資とするという考え方もできそうです。

医療保険について、具体的に3つの例を挙げました。まとめると、【資料04】のようになります。このようなタイプの違いを理解したうえで、ご自身の好みに最も近い商品を選ぶとよいでしょう。

3-3-4
 

最後に、保険会社によっては「先進医療特約」というものを出している会社もあります。これは国民健康保険が利かない先進医療を受けたときに、会社によりますが500万円〜2000万円までを保証してくれる、というものです。特約自体は100円〜200円程度と安いので、医療保険に加入するならこの特約を必ずつけるべき、という専門家もいるほどです。「万が一に備える」という意味では、これも付けておいたほうがいいかもしれません。

ただし、現実的な話としてこうした先進医療というのはごく限られた医療機関のごくごく限られた病気の対策として行なわれるものですので、これに掛かっておいてよかった、という人はものすごくわずかです。最も、だからこそこんなに安い値段設定になっているということは知っておきましょう。

結論として、医療保険に入ったほうがいい人はこれから病気がちになる人か、入院給付金1万円がでないと経済的に困る人、ということができます。目安ですが、100万円以上の余裕資金がある人は全く要らないと思います。これらの条件に当てはまらないなら基本的に医療保険は不要と考えられますが、もしご検討されるなら先の内容を参考にしてみてください。
 

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