保険で何のリスクに備えるかを決める

保険見直しのポイント

できるかぎりお世話になりたくないけど、避けては通れないモノ。そんなネガティブニーズの代表とも言える商品が生命保険です。
今回は個人の方が生命保険を見直す(または新規契約を考える)ときのポイントを具体的に挙げていきます。このポイントは20社以上の生命保険会社を扱うわたしたちが10年掛けて培ったノウハウでもありまして、きっとご参考になるのではと思います。

家業が生命保険代理店業であるということから、わたしは10年以上にわたって、実にさまざまな保険契約に掛かってきました。

なぜかというと『基礎知識編』で述べた通り、20社以上の保険会社には会社独自の取り扱いノルマがあるのです。たとえば「年間2件以上の新規契約を獲得しないと取り扱うことを認めない」というようなものです。わたしたちは商品性を重視してお客様に提案するスタンスを堅持しています。雑誌でプロに高評価されているような商品や、市場価格よりあきらかに割安な商品など、つまり消費者にメリットが大きい商品は、放っておいても勝手に売れる傾向にあります。

一方で、箸にも棒にもかからないような商品も存在します。どんな商品市場でもそうだと思いますが、いいものもあれば悪いものもあるものです。そのような、消費者にとってメリットよりもデメリットが多いような商品を出している保険会社にも、ノルマは存在します。そういった商品も売らないとノルマが達成できない………。

これは本当にジレンマなのですが、いいものばかりでなく悪いものも売れる状態にしておかないとその会社からの情報が取れませんから、消費者から見た本当の意味での比較ができないのです。

とはいえ、オススメできない商品を売りつけるわけにもいきません。仕方が無いから、販売者自身がそういった商品に加入する(このような行為をわたしたちは「自爆」と呼んでいます)というわけです。

会社の制度があれば十分

さて、家業が生命保険代理店業を営んでいるからという理由でわたしの体には常に7〜8くらいの(お客様にはあまりオススメしない)保険契約が掛かっているわけですが、毎日仕事を頑張り過ぎたせいか(?)2年前のある日の夜、わたしは急に吐血して緊急入院しました。

思えば何週間か前から慢性的な腹痛があり、その晩は背中の痛みを覚えて早く床についたのですが、突然耐え難い気持ちの悪さを覚えてトイレで嘔吐して、さらに吐血してしまったのです。吐いた血の量が多く貧血気味になり、お風呂で倒れているところを妻に発見してもらい、翌日から即入院………。診断された病名は、「胃潰瘍」。最低2週間は入院、断食が必要と診断されました。

この間、家族にも職場にも大変なご迷惑をかけたのですが、経済的な面で救いに思ったのはわたしのからだに掛かっている生命保険のことでした。このときほど健康が大切と思ったときはありませんでしたが、それと同時に理由はどうあれ、医療保険に加入しておいてよかった………、そのことも痛感しました。

結局、15日間の入院生活(手術なし)ののち、わたしは無事退院することができました。このときの医療費(自己負担額)は約10万円だったことを覚えています。

職場に復活してからのこと、ある日わたしは当時所属していた会社の労働組合の幹部から、「退院おめでとう。労働組合からお見舞い金と、健康保険組合から付加金が出ると思うから、早めに手続きしたほうがいいよ」というアドバイスを頂きました。「そんな制度があるんだっけ」と思いながら、前職当時の会社の福利厚生制度を確認して、わたしは思わず仰天しました。

けが・病気の場合の福利厚生制度はこうでした。

① 労働組合からのお見舞い金:14日以上の入院で1万円支給
② 健康保険組合からの付加金:自己負担額から2万5000円を越えた部分を支給

この2つの制度のおかげで、自己負担10万円のうち8万5000円ものお金が後から還付されました。

さらに医療保険に入っていましたから、保険会社からは1日あたり5000円×15日=7万5000円の給付金が出ました。会社の労働組合、健康保険組合から支給されたお金8万5000円+保険会社からの給付金7万5000円で、16万円! 自己負担の10万円を払ってお釣りがくるほどのお金を手にしたわけです。病気して得したという不思議な状態になってしまいました。

たしかにありがたいことでしたが、同時にわたしはこう思いました。わたしには医療保険は不要だった………と。後日、給付金を受けて少ししてから、この医療保険には感謝しつつ解約してしまいました。

わたしの前の勤務先が一部上場の大企業だったからということもありますが、自己負担分10万円のほとんどを補ってくれるような会社の制度があったのです。わたしはそんなことは露知らず、医療保険にも入っていました。家業のノルマをクリアするため、ということで加入していた医療保険ですが、本来の「けが、病気になったときの経済的損失の補填」という意味では「会社の制度があれば十分だ」と思わざるを得ませんでした。

わたしの経験したケースでの問題は、自己負担額10万円が一時金で払えるかどうかということでしたが、さすがにその程度の貯蓄はありましたので、これは問題になりませんでした。そして医療保険に加入していても、給付金が支払われたのは数か月先でしたので、この問題はクリアされません。そうなると医療保険ってどういうときに必要なのか? 健康保険のきかないような高額療養費が発生した場合の医療費の補填、そのくらいにしか必要とならないのではないか………。そんなことも考えました。

これは一例ですが、生命保険を検討するときにはまず、「何のリスクに備えるか?」を考えることが肝要です。

たとえばですが、ひとり暮らしで家庭が無い独身男性が「死亡保障は不要だし医療保障ぐらいかな〜………」と漠然と考えたとしても、実は会社の制度が掛かった医療費のほとんどをカバーしてくれるといった、わたしのようなケースもあるのです。

意外と見落としがちなことなのですが、生命保険を見直す前に、まずは勤務先の福利厚生制度と、国や自治体の社会保険制度を今一度確認されることをオススメします。そしてその次に、何のリスクに備えるかを具体的に決めていくプロセスをとるべきだと思います。

 

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